同僚が海外へ転勤することは、会社生活にとって大きな出来事であり、仲間を集めて送別会を行うというケースも多くあると思います。
送別会で餞別を贈るという人たちもいると思いますが、どんなものを渡すと喜んでくれるのでしょうか。
国内の転勤とは違い、海外への転勤の場合、餞別選びはただ気持ちを伝えるだけでなく、相手のことを考えて餞別を渡すということがポイントになります。
餞別をもらった相手が、ちょっと困ってしまうような笑顔にならないようにするためにも、ポイントを押さえて餞別選びをしましょう。
もくじ
海外赴任者へ何を贈るか
海外赴任者への餞別選び
餞別というと真っ先に思い浮かぶのが「現金」ではないでしょうか。
確かに日本円を現金でもらえばすぐに使うことはなくてもいつか使うことはできますし、日本の銀行口座に入れておけば海外からも使うことはできます。
しかし、現金ではちょっと露骨であると思う人は「相手の役に立つ餞別」を贈るのが良い方法です。
では、どのようなものがもらってうれしいのか、実際に海外赴任の餞別を何回かもらったことがある私が紹介します。
どんな人が赴任して行先はどこかを考える
海外赴任をする人への餞別を考えるときに、意識するべきことは国内の転勤とほとんど同じです。
- どんな立場の人に渡すのか。
- 赴任するときにどんな赴任の仕方をするのか。(単身赴任・家族同伴)
- 行先はどんな国なのか。
主に考えなければいけないのが上の3点です。
立場については、国内から海外に赴任になった場合、役職が大きく変わる可能性があります。
これまで係長ぐらいの立場だった人がいきなり課長や管理職として赴任することもあり、立場によっては餞別の額が変わってきます。赴任形態も餞別を選ぶときに大切で、単身赴任であれば生活をサポートするものが喜ばれますし、家族同伴であれば、本人だけでなく家族の役立つものを餞別として贈る選択肢が生まれます。
国内の転勤と違い海外赴任の場合、その国に持ち込むことができるものと持ち込めないものがあります。
例えば、喫煙者だからと言って煙草を渡そうとしても、電子タバコは持ち込み禁止の国がありますし、煙草に対して重加算税を加える国もあります。そんな国に赴任するのに煙草をプレゼントするというのも変な話です。
相場はいくらぐらいか
海外赴任者への餞別相場は、個人から個人へ贈る場合おおよそ3千円から5千円程度、親族であれば1万円ぐらいまでが相場になります。
職場の仲間で集めて贈るとしても上限を1万から2万円程度までにしておけば、一人一人の負担感は小さくなります。
出発前、到着後の事情を考えて渡す
国内外への転勤者に対して餞別を渡す場合には、相手の事情を考えて渡すことが大切です。具体的にいうと次のような状態になっています。
- 海外への荷物発送で船便を使う人は、大きい荷物は出発の1か月前には出ている。
- 航空便で持っていく荷物も出発の一週間程度前には空港に発送済み。
- 家の中は引っ越し準備が完了しておりものがほとんどない。
つまり餞別でもらったものが生花や食べ物の場合、持って帰っても困るという事態が発生します。
また、重たいものやかさばるものを直前にもらっても荷物になるので持っていくことができません。
大きなものを渡したいのであれば赴任者に事前に確認して渡す、直前に渡す場合には持っていきやすいものを渡すという配慮が大切です。
日用品で喜ばれるもの4選
はじめに最も餞別として使われることが多い、日用品に関係する餞別の中からよく選ばれているものを4つ紹介します。
靴下やハンカチなどの日常使い品
プレゼントとしてもらってもうれしいものが靴下やハンカチなど日常で使う消耗品ではないでしょうか。
特に赴任者が男性の場合、靴下やハンカチ、他にもネクタイなどであればサイズ選びもそこまで困ることはなく、購入することができます。
価格的にも餞別として一般的な予算の範囲内に収まりますし、かさばることもなく、現地に到着したらすぐにでも使うことができるものです。
海外赴任というのは気分も新たに仕事をしなければいけないことが多くなります。そんなときに新しい靴下やネクタイなどがあれば仕事へのテンションも上がります。
こうしたものは海外でも買うことができるものですが、日本で売られているものと比べると品質面で心配なところがあります。これからの新しい仕事を心機一転頑張ってほしいというメッセージを込める意味でもおすすめの餞別です。
品質の高い日本製の文房具
海外に赴任して仕事をし始めると実感することがあります。
それが「日本製文房具のすばらしさ」です。海外でも文房具は販売されていますが、日本のものと比べると質、量ともに劣ります。
具体的には次の点です。
- 油性のボールペンは多いが、ゲルインクタイプのものは少ない。
- 0.5mm以下の細いボールペンがない。
- 紙が薄く、ノートを購入して書くと破れやすい。
- 書き味の良いボールペンやシャープペンは高級品扱いとなり高い。
概ね海外で実際に生活をしていて文房具に関する不満な点は先に述べたとおりです。
不満があるため、日本からざわざわ文房具を購入してきたり、日本への出張者に購入を依頼したりすることもよくあります。
海外の文房具にはこのような不満があるからこそ、日本でプレゼントされるものに文房具があるととても便利で、重宝します。
パソコン周辺機器も日本の方が充実しており、日本であれば100円均一ショップで売っているようなものが高い値段になっていることも多いです。
贈る相手の仕事をよく知っており、普段使っているものを見慣れているのであれば、相手の仕事の効率を考えて餞別として贈ると喜ばれると思います。
一つ注意点として、書類を整理するファイルやケースは避けたほうがよいです。
なぜなら、海外では日本で使われているような「A4」「B4」といった紙のサイズはありません。多くの場所で「Letter」と呼ばれるサイズ方式を使っているので、紙の大きさに関係するものは避けましょう。
文房具に関しては、お子さんがいる海外赴任者への餞別としても喜ばれます。
子どもの年齢にもよりますが、小さい子であれば、色鉛筆やクレヨン、子ども向けのおもちゃなどがあると便利です。
特に色鉛筆は海外にもありますが、色の出が悪く描きにくいものが多いです。クレヨンのようなものはほとんどありません。
色を塗るのは水彩(絵具)という文化の国が多いので、子どもが手軽に使うことができるグッズを贈るのもよいです。
電子辞書・デジカメなどの小型家電
海外赴任のような転機になると買い替えを考えるものに小型家電があります。
電子辞書やデジカメ、タブレット端末など現地で購入すると高いというイメージから日本で買い替えて持っていく赴任者もたくさんいます。
そこで、こうした小型家電をプレゼントするというのもよいです。ものによっては高額になりますが、複数の人から餞別を集めていて、ある程度高額の商品をプレゼントできる資金があれば、候補になります。
小型家電を贈る場合は配慮事項が2つあります。
1つ目は、本人に事前確認しておくことです。海外転勤は家電製品などの自分の身の回りのものを買い替えるチャンスであり、すでに買い替えている、または新しく購入している可能性があります。
海外赴任する本人に餞別として贈る予定であることを話して確認すると後になって後悔することはありません。
2つ目が電圧の問題です。日本の電源電圧は交流100V 50/60MHzですが、海外では国によって電圧がバラバラです。
そこで近年は多くの小型家電に変圧設備が付いており「100Vから240Vまで利用可能」というものが多くなりました。
しかし、一部の機械では100Vでしか利用することができないものもあります。
特にモーターで動くようなもの(髭剃りや電動歯ブラシなど)や加熱をするもの(ドライヤーや小型のホットプレートなどの調理機器)です。
赴任する奥さん向けにキッチンで利用できる便利グッズを餞別に考えている人もいるかもしれませんが、キッチン用品は「100V限定」となっているものがあるので確認して購入しましょう。
お皿や箸などの日本を感じるもの
海外赴任の餞別として贈るのであれば、海外で手に入らないものを贈るというのもよい考えです。
そこで餞別の代表格になるのがお皿や箸など日本を感じることができる日用品です。
最近でこそ、海外でも日本食ブームとなり海外でも箸が販売されるようになりましたが、少し田舎に行くとなかなか購入することができません。
また、お皿も同様で和食器やお椀、茶碗といったものはなかなかないので、もらったほうは使える嬉しさがあります。
日本を感じることができるものとして、和的要素の強い髪飾りやハンカチ、手ぬぐいがあります。
暑い国への赴任であれば扇子なども餞別として面白いです。日本は四季があり、厚さや寒さに対応できるさまざまなグッズを昔から作ってきました。
海外赴任する人の赴任先に合わせて使うことができる日本のグッズであれば喜ばれますし、もらったほうも現地で使うことができます。
こちらも餞別を贈る際の注意点があります。
日本を感じるものの中には大きなものや割れ物も多くあります。前述していますが、海外赴任の際は荷物を早めに梱包して出荷します。
直前に大きなものや重たいものをもらっても持っていくのに手間がかかるため、日本に置いていかざる負えなくなるケースもあります。
大きなものや重量のあるものを贈るのであれば早めに渡すことを意識しましょう。
定番餞別として人気がある食品4選
日用品と並んで海外赴任する人へ人気のある餞別が食品です。
ではどのような食料品が餞別としてよいのでしょうか。
もらった側の心境から言うと「生活の立ち上げを助けてくれる」「日本を感じることができる」「軽くてかさばらないこと」この3つがポイントになります。
そこでこれらの条件に当てはまる餞別4つを紹介します。
使いやすいティーバック
海外に赴任してほっと一息つきたいとき、恋しくなるのが「日本茶」です。
コーヒーや紅茶は海外でもよく見かけますが、日本茶となると一部のお店で「緑茶(Green Tea)」の取り扱いはあるものの「ほうじ茶」「麦茶」はなかなか見かけません。
そこで海外赴任者への餞別として「お茶」はいかがでしょうか。
お茶であれば、現地に赴任してからふっと日本を感じてもらいたいときに飲んでもらうことができますし、価格もお手頃です。
なんといっても軽くて小さいので、直前に渡してもそこまで負担感を与えることがありません。
海外でも茶葉は手に入れることができますが、販売店が少なかったり、緑茶のみしか取り扱っていなかったりします。
茶葉は贈答用として梱包されたものも販売されているので、餞別として渡しても恥ずかしくありません。
1つ渡すときに配慮してあげるとよいのが、できるだけテーバッグになっているものを渡すことです。
茶葉タイプのものを渡すと飲むときに急須が必要になります。海外では急須が販売されていることはあまりなく、紅茶用のティーポットで代用できるかどうかです。
ティーバッグタイプならすぐに使うことができ、他の道具も必要ないので赴任直後のものがないと来ても飲むことができます。
同じ理由で、水やお湯を注ぐだけで飲むことができる粉状になったものも渡されたほうがうれしいです。
ふりかけなどのインスタント系保存食品
2つ目におすすめのものがふりかけなどの保存食品です。
ふりかけ以外にもチャーハンやお茶漬けの素なども喜ばれます。
これらのよいところはお茶と同じように日本を感じることができる点と生活の立ち上げで忙しいときにも簡単に食べることができる点です。
また、軽くて小さいので、もらった側も荷物に詰めて持っていきやすいメリットがあります。
海外赴任の場合、生活の立ち上げが一から始まることになります。赴任方法によっては住む場所が決まるまで、しばらくホテル暮らしをしなければいけない可能性もありますし、昨今の感染症の影響を考えるとホテルで隔離生活を送ることも想定されます。
忙しい生活立ち上げの時期に簡単に食べることができる食品があるのはとてもうれしく、インスタント食品の存在はとてもありがたいです。
インスタント食品というと安価なイメージがあるかもしれませんが、ギフト商品にもなっている贈り物として決して恥ずかしいものではありません。
相手の生活のことを考えて渡すという気持ちを込めると、もらったほうも感謝の気持ちが増します。
海外では手に入りにくい乾物類
3つ目に紹介するのは乾物類です。
海外でも干した食品は多くあり、簡単に手に入りそうなイメージがありますが、日本料理で利用することができる乾物というとそこまで多くありません。
どうしても欲しくなってしまうのが「椎茸」「昆布」「鰹節」などが代表格で、乾燥わかめも日本食材店の一部で販売されているような感じです。
乾物を餞別にするよいところとして日持ちするので相手に賞味期限を意識させることなく渡せる点にあります。
また、日本料理を作るのに欠かすことができないものが多いので、現地で日本を感じてもらうことができます。料理が得意な人が赴任する、家族連れで赴任するので奥さんに対して餞別を贈ってあげたいというときにおすすめです。
乾物の贈り物もお歳暮では定番のものとなっているので、渡すものとしては恥ずかしいものではありません。
重量はあまりないのですが、箱詰め商品の場合かさばることもあるので、赴任の荷物がまとまってしまう前に送ってあげると相手への配慮にもなります。
インスタント食品と関連する部分もありますが、日本の乾燥フードはとてもレベルが高く、使い勝手が良いです。
餞別として使うことができるようなギフト商品も多くあり、しかももらった側も使いやすいです。
特に海外赴任のように、急な事情によって生活の立ち上げが大きく遅れるような可能性が高いときには簡単に食事をとることができるインスタントや乾燥食品は保存も効き、味もおいしいので重宝します。
日本のお菓子
餞別としてよくもらうものがお菓子です。特に小さい子どもがいる家庭への餞別には喜ばれるものではないでしょうか。
海外でもお菓子は多数販売されており、チョコレート系やポテトチップスに代表されるスナック菓子はかなり充実しています。
一方で、抹茶系やおせんべいのような米を原料とするお菓子はあまりないので、こうしたお菓子を赴任者に渡すと喜ばれます。
海外のお菓子の特徴として味がはっきりとしており、甘さにしても塩辛さにしてもかなり強いです。この味に慣れるには子どもでも少し時間がかかるので、日本のお菓子がやっぱりおいしいと感じる人は多いです。
また、海外のお菓子であまり見かけないのがお酒のおつまみ系です。ビーフジャーキーはどこでも見かけますが、小魚やイカを乾燥させたようなおつまみはあまり見ることがなく、アルコールのお供と言えば「ピーナッツ」という考えの国も多いです。
日本では、こうしたアルコールのつまみにもなるお菓子が数多くあり、赴任する人がアルコール好きでよく晩酌をしているというのであれば、おつまみ系のお菓子を餞別としてプレゼントするのが良いです。
アルコールそのものは重くて割れるリスクがあるのでおすすめというところまではいきませんが、海外では手に入りにくい日本酒を餞別にもらったという話も聞きます。
瓶製品を渡すのであれば化粧箱に入っていて、割れないような配慮がされている商品を選択しましょう。
条件によって便利な3選
最後におすすめの餞別として紹介していく3つ目は、条件によって相手が喜ぶものになります。
家族関係や赴任先の状況が分かっている、または赴任してから餞別を贈りたいというときにも便利なものを3つ紹介します。
子供向けのおもちゃ類
赴任者に子どもがいる場合には「おもちゃ」をプレゼントするのもよいです。
理由は、海外のおもちゃは総じて高いという点にあります。自国で生産しているおもちゃは安いのですが、他国から輸入しているおもちゃは高く、世界的に名前が知られているブランド(レゴやディズニーなど)は、日本で購入したほうが安いです。
また、日本で販売されている知育玩具のようなものがありません。
トランプはどこでも販売されていますが、かるたや将棋といった日本のゲーム、または日本で人気のアニメや漫画といったものに関連するおもちゃも海外では手に入りにくいです。
ゲームもカセットの販売はあるものの現地語仕様になっていたり、書き込みの信号方式の違いから日本で購入したゲーム機では読み込めなかったりといったケースもあります。
ゲームやおもちゃが好きなのは子どもだけでなく赴任者が好きというケースもあるかもしれませんが、餞別として遊び道具を渡すのも面白いです。
小さい子どものうちは海外赴任中も日本の文化に触れさせてあげたいという保護者も多くいます。
小さい子どもがいるのであれば「ひらがな練習帳」や「日本語の書かれているおもちゃ」など、日本文化に触れさせることができるものは赴任者として嬉しいです。
海外では、日本語の書かれたおもちゃや文具を購入することは難しいです。
お風呂があるならバス用品
条件次第でおすすめの餞別2つ目が「バス用品」です。
海外では日本のように浴槽に入るという文化があまりないので、浴槽を持つ家に住む予定の人限定のプレゼントになってしまいますが、入浴剤も餞別としておすすめです。
海外でも入浴剤のようなものはありますが、日本のものと比較して匂いがとても強いです。
また、「ヒノキの香り」や「ゆずの香り」のような日本人が好む香りのものもあまり販売されていません。このような傾向は、入浴剤だけでなく石鹸やシャンプー、女性であれば保湿クリームにも同じことが言えます。
赴任する人が女性であるケースや駐在妻となるような人に向けてプレゼントを贈るのであれば、石鹸やクリームといった日本人が好みそうなバス用品をプレゼントするのもよいです。
海外では、オーガニック商品も日本と比べれば少なく、高級品扱いになります。常に好んで使っている肌のケア用品や美容用品があれば、餞別として贈っても女性から喜ばれるのではないでしょうか。
海外でも使える電子マネー
3つ目に紹介するのは現金と似ていますが、電子マネーです。
日本でもキャッシュレス決済が浸透しており、様々な電子マネーがありますが、中には海外でも使うことができるものもあります。
クレジットカード会社が発行しているプリペイドカードに一定金額チャージしてプレゼントするのも1つの餞別です。
また、海外でも使うことができる通販サイトのポイントを渡す方法もあります。
一番有名なのがAmazonのギフトで、Amazonなら海外に赴任してからネットで商品を購入し、現地の家に配送してもらうことが可能です。Amazonギフトであれば、商品購入として使うことができます。
Amazonギフトを餞別にするメリットとしてメールで餞別を贈ることができます。「なかなか会ってものを渡すことができない。」「渡そうと思ったけれどもすでに出発してしまった。」というケースでもギフトを相手に送ることができるので便利です。
まとめ
ここまで海外赴任者の餞別10選について紹介しました。
商品選びのポイントとしては相手の状況をよく考えて渡すことです。
海外赴任は日本国内の引っ越しと違い、かなり早い段階から準備しています。
そして赴任後は、日本と違う生活が待っています。
そんなときに「ふと日本を感じることができる」「生活に役立つ」こんなものをもらうことができれば、赴任者もほっとすることができます。
せっかく餞別を渡すのであれば、日本を思い出し、懐かしんでもらうことができるようなものを渡すとよいのではないでしょうか。