「急に夫の海外赴任が決まって、帯同することになった」
「今まで日本でしか暮らしたことがないから、うまくやっていけるか不安...」
夫の帯同で海外移住することになった人のほとんどが、このように異国の地で生活することに不安を抱えるでしょう。
実際に駐在妻を経験した人の声を見てみると、「楽しい」「世界が広がる」といったポジティブな意見と同じくらい、「しんどい」「辛い」といった意見も目にします。
この記事では、実際に夫の転勤で海外移住をした筆者が渡航前に感じていた不安や、同じ境遇の友人から聞いた話を踏まえて、駐在妻が不安に感じやすいことと、その不安への対処方法について紹介します。
夫の海外赴任への帯同が決まって不安に思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
駐在妻が渡航前に不安に感じやすいこと
駐在妻が渡航前に感じる代表的な不安や悩みとしては、以下の例が考えられます。
- 友達ができるか
- 現地に馴染めるか
- キャリアの中断
- 生活を楽しめるか
- 言葉の壁について
それぞれ、なぜ不安に思ってしまうのか、具体的にどんなことが心配になるのかについて詳しく見てみましょう。
友達ができるか不安
1つ目は、渡航先で仲の良い友人や頼れる知り合いができるかといった不安です。
夫の転勤で異国の地に住むということは、これまで日本で築いてきた人間関係から離れるということです。
知り合いが1人もいない場所で、0から新たな人間関係を作れるのかと不安に思う人も少なくないでしょう。
現地に赴任する夫本人は、会社関係で人との繋がりが必ず生まれるため、あまり人付き合いに悩むことはないかもしれません。
しかし、帯同する駐在妻は、知り合いを作ったり、所属したいコミュニティを探したりなどを全て自分で行う必要があります。
さらに言語の問題があると、「現地で暮らす日本人」という限られた人の中から気の合う人を見つけられるのかと心配に感じることもあるでしょう。
ちなみに、筆者の場合は「駐在妻のコミュニティって、なんとなく面倒そう」「無理して人付き合いしなきゃいけない場面もあるのかな」という不安を持っていました。
現地に馴染めるか不安
2つ目は、現地の生活にうまく馴染めるかという不安です。
海外移住にあたって、文化や言葉の違いに戸惑うだろうということは想像しやすいかもしれません。
しかし、実際にそこで暮らしていくとなると、細かな不便を感じやすくなります。
例えば、日本でいつも使っている掃除用品が手に入らなかったり、毎日のように使っていた調味料が売っていなかったり、治安によっては一人での外出さえ自由にできなかったり、現地の価格表示に慣れなかったりなどが挙げられます。
日々の何気ない行動がスムーズに行えず、ストレスに感じてしまう人もいるでしょう。
このように、日本で生まれ育った人にとって、急に異国の地で生活をしていくことは簡単なことではありません。
このような状況で、異文化に慣れ、本当に現地の生活に馴染めるかといった不安を抱える人も多くいます。
子育てがうまくいくか不安
3つ目は、子育てがうまくいくかという不安です。
日本にいても何かと悩みが尽きない子育て。それを海外で行うとなると、さらに多くの悩みや心配事が出てきます。
学校制度や子育てについての考え方が異なる環境では、戸惑ったり、何が正解なのかわからなくなったりすることもあるでしょう。
例えば子どもを連れての転勤となると、まずは転校先として現地校に通わせるのか、日本人学校に通わせるのか、インターナショナルスクールを選ぶのか、といった悩みが出て来ます。
さらに中学生・高校生の場合は、受験について考える必要もあります。
また、「これから子供を持ちたい」と考えている駐在妻もいるでしょう。そのような場合、何かと制約の多い妊婦生活を海外でうまく送れるのか、出産は無事に終えられるのかといったことが不安になりますよね。
さらに海外赴任では、子どもの年齢を問わず、夫の仕事が忙しくて家事育児が妻のワンオペになってしまうという家庭も少なくありません。
パートナーが忙しく、また実家や義実家など頼れる人もいない土地で、子供ときちんと向き合えるのかという不安は、誰しもが多かれ少なかれ抱えるものでしょう。
キャリアが中断されることが不安
4つ目は、キャリアが中断されてしまうことについての不安です。
これは、夫の海外帯同のために仕事を辞めることになった駐在妻が抱えやすいお悩みです。
特に、自分自身の希望ではなく、夫の転勤を理由に仕方がなく離職したというケースでは、職歴が空くことで「想像していたキャリアが歩めなくなるのでは」「帰国後に望む仕事に就けるだろうか」と強い不安感を抱えることもあります。
夫の海外赴任が決まった時に、「私も赴任先で働こう」と考える妻も珍しくありません。
しかし、それは必ずしも実現できるとは限りません。言語や人材の需要などの問題のほか、ビザの関係で働くことが許可されなかったり、企業によっては帯同家族に働くことを禁じたりすることもあるためです。
結果として、夫の海外赴任にともなって、家庭に入り専業主婦をしなければならない人もいます。
実際に、それまで日本で忙しく仕事をしていた友人が「社会に必要とされていないのではないか」と感じてしまったり、「日本の友達や会社の同僚はまだ働いているのに...」など焦りを感じたという話を聞いたことがあります。
生活を楽しめるか不安
5つ目は、生活を楽しめるかといった不安です。
住居、言語、気候、自分の立場など、身の回りの何もかもが日本と違う環境において、日々の生活を楽しめるかと不安に思う人も多いでしょう。
海外に移住することで、日本で続けていた趣味が続けにくくなる人もいるかもしれません。反対に、今まで仕事に多くの時間を割いていた人の場合、「時間はたっぷりあるけれど、いったい何をすれば良いんだろう」と焦ってしまうこともあるでしょう。
しかし、駐在妻という立場で夫や子供を元気にサポートするために、そして自分自身の健康のためにも、「日々を楽しむ」ことは重要と言えます。
言葉の壁が不安
6つ目は、言語の壁についての不安です。
これは、海外生活を始めると想像した時に最初に感じる大きな不安かもしれません。
赴任先では、普段の買い物や外食などはもちろんのこと、病院に行く際や移住に伴う手続きなど重要な会話も、全て英語か現地の言葉で行う必要があります。
また、平日に行われる子供の学校での面談や習い事の申し込みなど、夫がいない状況で英会話が必要になってくる場面もあるでしょう。
言語の壁は、他の不安も誘発すると言えます。
ここまで、「友達ができるか」「現地に馴染めるか」「生活を楽しめるか」といった悩みについて紹介してきましたが、これらは「現地の言葉を流暢に話せる」と仮定した場合、あまり大きな不安要素にはならないでしょう。
言葉に問題がない場合、わからないことは現地の人にすぐに尋ねられるし、友達作りや趣味も日本人・日本語に限定する必要がなくなるからです。
駐在妻が感じる不安を解消する方法
「華やかそう」「楽しそう」というイメージを持たれることの多い駐在妻。しかしここまで紹介したように、駐在妻には駐在妻ならではの不安もあるのです。
ここからは、駐在妻が赴任前に感じる不安を解消できる方法について解説していきます。
- SNSや夫の紹介で現地に知り合いを作っておく
- ブログや本で現地の生活の情報収集をしておく
- 現地の子育て事情や利用できるサポートを調べておく
- キャリアに活かせる習い事や副業を検討する
- 現地で楽しめる趣味や行きたい場所を考える
- 言語を学んでおく
それぞれの不安解消方法について、詳しく見ていきましょう。
SNSや夫の紹介で現地に知り合いを作っておく
現地での人間関係や、友達ができるかといった不安がある場合、渡航前にSNSや夫の紹介を通じて知り合いを作っておくことができます。
例えばSNSで、現地での生活用のアカウントを作ってみるのも良いでしょう。「◯月から××に渡航予定です」といったプロフィールで、今感じている不安な気持ちや楽しみにしていることなどを投稿することで、同じ境遇の人やすでに現地に住んでいる人との繋がりが生まれるかもしれません。
Instagram や Twitter で「渡航先の地名」「駐在妻」と検索すれば、駐在妻として現地で生活をしている人を見つけるのも良いですね。SNS上とはいえ、渡航前に「現地の知り合いが0ではない」と思えるようになることで、不安な気持ちも薄らぎます。
また、夫と同じ場所に赴任している同僚や、その家族を紹介してもらうことも一つの方法です。同僚の奥さんなどと会う機会があれば、夫が同じ企業で働いている同士で仲良くなりやすいでしょう。すでに渡航している人との食事会の予定を立ててもらったり、家族も参加可能なイベントや飲み会には積極的に参加したりなど意識してみましょう。
ブログや本で現地の生活の情報収集をしておく
現地に馴染めるかといった不安を感じている場合、ブログや書籍、またはSNSなどで事前に現地の生活についての情報収集をしておくことが有効です。
現地の文化やマナー、ルールなどは、事前調査である程度は知っておくことができます。
異文化について前もって学んでおくことで、カルチャーショックを受けたり、やり取りで戸惑ってしまったりする回数を減らせるでしょう。
また現地情報のほか、「駐在妻」という立場の人がどのような生活をしているのか、どのようなことを考えているのかを知ることも大切です。
現在、世界中で多くの駐在妻がブログやSNSを発信しています。それらをチェックすることで、自分の現地での生活をイメージしやすくなるでしょう。
ただし、SNS上では駐在妻に限らず、日常生活の良い面のみを切り取って発信している人も少なくありません。
日々おしゃれなレストランの写真をアップしたり、習い事や語学学習に精を出している様子ばかりを投稿したりする人もいるでしょう。
そのような投稿ばかりを見ていると、自分の生活と比較して「自分はだめだ」「もっと頑張らないと」と思ってしまい逆にストレスになることもあるかもしれません。
しかし、キラキラとした投稿内容のみを真実と考える必要はありません。変に焦ったり、落ち込んだりすることなく、「海外で生活しているだけですごい」と考え、自分のペースで徐々に現地に馴染むようにしましょう。
現地の子育て事情や利用できるサポートを調べておく
子育てに関する不安についても、事前に現地の子育て事情や利用できるサポートがあるかなどを調べておくことが有効です。
学校に通う子供がいる場合、住む場所の近くにはどんな学校があるのか、どのような習い事があるのかなどを調べ、子供の希望も踏まえて事前に検討しておきましょう。同じく海外赴任している夫の同僚の家庭について質問してみるのも良い方法です。
加えて、利用できる会社の福利厚生についても把握しておいてもらいましょう。教育費の補助が出たり、育児サービスを斡旋してもらえたりすることもあります。
乳幼児の子供がいる場合には、保育園や幼稚園、育児サービスが利用できないか調べてみましょう。国によっては家に来てもらうお手伝いさんを格安で利用できることもあります。
また、日系企業が多い土地であれば、現地日本人の乳幼児が集まるイベントやサークルもあるでしょう。
慣れない土地で家に引きこもり1人で家事育児の全てを担うのは、相当なストレスとなってしまいます。積極的に外部サービスを利用しましょう。
また、夫に不安に思っている気持ちや、どんなことを心配に感じているか、家では何をして欲しいかといった希望を伝えることも大切です。
家庭により方針は異なるかもしれませんが、子育ては妻一人が担うものではなく、夫婦で取り組むべきものと確認し合うことで、気持ちも楽になるでしょう。
キャリアに活かせる習い事や副業を検討する
海外移住にあたってのキャリア中断を不安に感じる場合は、将来に活かせる習い事や副業を検討することができます。
日本でキャリアを積んできた女性にとって、仕事を辞めて海外で暮らすことは、大きな機会の損失と感じてしまうかもしれません。
しかし反対に考えれば、「海外で暮らすという経験」ができると捉えることもできます。結婚後に海外移住をするというのは、たとえ希望してもなかなか実行できることではありませんよね。
駐在妻として暮らすことを損失ではなくチャンスと捉え、外国でしかできない習い事を始めたり、新たに何かを学んだりすることもできるでしょう。
現地の言葉を学ぶことができるのはもちろん、仕事を辞めてできた時間で気になっていた資格試験の勉強などをすることもできます。
そのほか、インターネットがあればできる副業を始める方法もあります。
ポイントサイトなどに登録してお小遣いを稼いだり、輸入代行や現地製品を販売するECサイトを立ち上げたり、ブログやYouTubeなどでコンテンツを発信して収益化したりと、意外と海外でもできることはあるのです。
副業する中で身についたスキルが、帰国時の再就職で評価される可能性も十分にあります。
もちろん、「それでも日本でキャリアを積みたかった」「どうしてもポジティブに考えられない」と感じる人もいるかもしれません。しかし、「仕事を辞めて帯同する」と一度決めてしまったのであれば、残念に思い続けるのではなく、新しいことにチャレンジしようと行動する方が自分にとってのプラスになります。
現地で楽しめる趣味や行きたい場所を考える
現地での生活を楽しめるかと不安に思っている場合は、海外だからこそ楽しめる趣味や、行きたい場所について想像することでポジティブな気持ちになれる場合があります。
先述の通り、海外帯同は、今まで興味があっても時間がなくて挑戦できなかったことに挑戦する良いチャンスでもあります。
例えば南国への移住の場合はダイビングの免許を取得するなどウォータースポーツを楽しむことができます。反対に北国での滞在の場合、ウィンタースポーツを思いっきり楽しめますね。
また、滞在先で始めた趣味がそのまま仕事になったという事例もあります。
その国の料理をマスターして、帰国後に料理教室を開いたという人や、帯同中にヨガを学んでインストラクターの仕事を始めたという人もいるようです。
「興味を持てる趣味がわからない」という場合には、移住後に行きたい旅行先について調べてみるのも良いでしょう。
ヨーロッパや東南アジアであれば、近隣諸国に気軽に遊びに行くことができます。アメリカやカナダなどの大国の場合は、短期の滞在では巡れないような場所に足を運んでみるのも良いですね。
海外帯同に前向きな気持ちを持てない場合、意識的に駐在妻のポジティブな情報を探すようにしましょう。
筆者の友人でも、「不安なことをインターネットで調べていたら、SNSでも似たようなお悩みの投稿が流れてくるようになって、どんどん暗い気持ちになっちゃった」と話していた人がいました。
どうせ調べるなら、明るいことについて調べて、ワクワクした気持ちで渡航したいですよね。
言語を学んでおく
言語の壁に対する不安は、やはり言語を学習することでしか解消できません。海外赴任をする本人の場合であれば、企業によっては通訳や語学研修を利用できることもあるでしょう。
しかし、帯同家族に対しても、必ずしもそのようなサポートがあるとは限りません。
言葉のサポートの手厚さは企業によって異なりますが、自由にストレスなく日常生活を送るためには、現地の言葉もしくは英語を学んでおいた方が良いと言えるでしょう。
言葉が不安という理由で、家に引きこもりがちになってしまうという状況も防げます。
また、「帰国後は再就職したい」と考えている駐在妻にとっては、語学を身につけることは大きなアドバンテージになります。
駐在妻が英語や現地の言葉を学ぶ際のおすすめの方法としては、以下の手段が考えられます。
- 英語コーチングスクール
- オンライン英会話
- 現地の語学学校
それぞれの選択肢について、詳しく紹介していきます。
英語コーチングスクール
1つ目の方法は、英語コーチングスクールに通うことです。
英語コーチングスクールとは、ただ英語そのものを教えるだけでなく、生徒1人ひとりの目的に沿った英語の学習方法まで教えてくれる英語スクールのことです。
例えば「夫の転勤に伴って海外で生活することになった」という場合は、渡航日から逆算して日々行うべき学習を専属コーチから指導してもらえます。
なお、「駐妻英語コーチング」では、駐妻が現地の生活で必要となる英語を集中的に学ぶことができます。
そしてコーチは、実際に海外での生活を体験したことのある人です。そのため、英語を教わることができるのはもちろん、海外での生活や育児についての不安を聞いたり、コーチの体験談を教えてもらったりすることもできます。
渡航前に必要となる英語を身につけ、「言葉は大丈夫」「何かあってもコーチに相談しよう」と思えるだけで、大きな心の余裕を持って新生活を始められるでしょう。
オンライン英会話
2つ目の方法は、オンライン英会話を利用することです。
オンライン英会話とは、名前の通り実店舗となる教室を持たず、オンラインでレッスンを行う英語教室です。
オンライン英会話のメリットは、なんと言っても格安で受講できることでしょう。
大手オンライン英会話であれば、「毎日25分のレッスンで月額6,480円(税込)」や「毎日50分のレッスンで月額12,980(税込)」といったプランが用意されています。
「とにかく英語で喋ることに慣れたい」「渡航先でもレッスンを受け続けたい」と考えている人に、特におすすめできる方法です。
現地の語学学校
3つ目の方法は、現地の語学学校に通うことです。
これは、「突然の辞令で渡航前はバタバタしていて言語を学ぶ時間がなかった」「日本で語学学校に通うよりも、現地で通う方が安い」「学校を通じて現地で暮らす友達を見つけたい」という人におすすめの方法です。
渡航先によっては日本よりも物価が低く、安価で語学学校に通えることもあるでしょう。現地での知り合い作りにおいても良い環境です。
また、英語圏ではない国に渡航予定の場合、言語によっては日本で習える場所を見つけることが簡単ではないかもしれません。
しかし現地であれば、その国の言語の語学学校を見つけることは難しくないでしょう。
また、現地で現地の言葉を習うと、習った内容をすぐに実生活でも使うことができます。インプットとアウトプットを繰り返しやすい環境で学ぶことで、上達の速度も上がるでしょう。
不安な気持ちと向き合って一つずつ解消していきましょう
駐在妻が渡航前に不安に感じやすいこととしては、以下の例が挙げられます。
- 友達ができるか
- 現地に馴染めるか
- キャリアの中断
- 生活を楽しめるか
- 言葉の壁
それぞれの不安について、渡航前にできる解消方法としては以下があります。
- SNSや夫の紹介で現地に知り合いを作っておく
- ブログや本で現地の生活の情報収集をしておく
- 現地の子育て事情や利用できるサポートを調べておく
- キャリアに活かせる習い事や副業を検討する
- 現地で楽しめる趣味や行きたい場所を考える
- 言語を学んでおく
この記事を参考に、海外移住をできるだけポジティブに捉えてみてください。