駐在生活をしていると「めんどくさい」と思うことはたくさんあります。
その中には、日本で生活をしていればそんなに気にすることはないのに「駐在妻」であるが故にめんどくさいと感じるものもたくさんあります。
では、駐在妻独特の「めんどくさいもの」にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は、筆者の聞き取り調査を基に紹介していきます。
もくじ
駐在妻がめんどうと感じてしまうことを聞いてみた
今回、筆者が聞き取りをしたのは同じアメリカに在住をしている20代から50代までの駐在妻、合計25名です。
駐在歴は人によってばらばらでもう20年以上も海外で過ごしている人もいれば、数か月という駐在歴の浅い駐在妻もいます。
そのため、いろいろな角度からの意見を聞くことができました。
第1位は日本人同士の人間関係
同じ駐在妻にアメリカで聞いたり、これまで海外生活をしてきて一緒に遊んだりする仲間との間で必ずと言ってよいほど「めんどくさいこと」で出てくるのが、日本人同士の人間関係です。
海外に住んでいるのに日本人同士の人間関係で嫌な思いをするというのは、駐在妻共通の「あるある」かもしれません。
なぜ、人間関係がめんどくさいと思ってしまうのかというと「日本人社会が狭い」からです。
海外で住んでいる日本人はそんなに多くないので、どうしても固まってしまいます。
すると、人間関係が固定されやすく、旦那の収入や会社のランク、役職などによって駐在妻の中でも階級社会が生まれます。これがめんどくさいと感じる要因です。
日本で生活をしていれば、旦那の上司の奥さんと付き合いをするということはほとんどないと思いますが、海外にいると頻繁にありますし、家がご近所というケースも多いです。駐在妻同士でも日々の付き合いに神経を使うことが多くなり、ストレスがかかります。
また、社会が狭いので良い噂もすぐに広がりますが、悪い噂もすぐに広まってしまいます。
さらに、個人の情報まで筒抜けになりやすいです。一番心を落ち着けることができるプライベートの時間でさえも周囲の目を気にしながら生活をしていかなければいけないというのもめんどくさいです。
大都市圏や日本人が多く生活をしているような東南アジアの国であれば、そこまで神経質になることはありませんが、日本企業が少なく、さらに古くから日本人のコミュニティーがしっかりと出来上がっているような街に赴任する際には、ちょっと気を付けましょう。
2位は日々の生活
2番目に多い意見は、「日々の生活」です。
日本であれば、簡単に済ませることができることが海外では簡単にいかないのは、めんどくさいことになります。
また、日本に住んでいるのであれば必要のない手続きもあります。代表例としては
- 自家用車に乗ることができないのでちょっとした買い物をするのにもタクシーを呼ばないといけない
- 食品に農薬が散布されている可能性があるので、野菜類は消毒をしないと調理をすることができない
- 滞在を許可してくれるVISA(査証)を毎年更新しなければいけない
などなど代表的なことを紹介しましたが、海外暮らしならではのめんどくさいことはたくさんあります。
特に駐在妻の場合、日本のように自由な行動をできないケースが多く、思い付きで行動するとさらに手間が増えてしまうようなこともあります。(例えば、思い付きで買い物に行ったけれど、買い忘れがあるとまた、タクシーを呼んで行動しなおさなければいけない等)
1年もすれば、海外での動き方に慣れてくるのですが、慣れるまではめんどくささを感じることが多かったです。
3位はコミュニケーションに関すること
3番目に多いめんどくさいと感じてしまうことが、「現地の人とのコミュニケーション」に関することです。
赴任する前、多くの駐在妻が不安に思っていることに「語学力」があがります。
実際に赴任をすると、現地の人となかなかコミュニケーションを取ることができず、困ったことがあったときに助けを呼ぶことが出来なかったり、欲しいものを購入することが出来なかったりすることもあります。
語学が苦手な人にとっては、語学を勉強することそのものがめんどくさいと思ってしまうでしょうし、翻訳機があっても、わざわざ機械を使わないとコミュニケーションを取ることができないことにめんどくささを感じると思います。
日本であれば、同じ言語なので簡単にコミュニケーションを取ることができるのですが、言葉が変わると「伝えられない」「相手の意思が理解できない」という状況に陥るのでストレスを感じることになります。
意外と少なかった現地の文化のずれに関すること
筆者が、駐在妻に聞き取りをしていくときに「文化のずれ」に関する内容がめんどくさいことに挙がるのではないと予想をしていましたが、思ったよりも意見は少なかったです。
その理由として、駐在しているアメリカの文化は日本でもよく知られているものがあり、赴任する前からなんとなくイメージをすることができること。また、アメリカ文化は日本よりも寛容な部分が多く、制約が少なくなる(その分、個人の責任が強くなる)傾向があるので、「めんどくさい」という感情はわきにくいのかもしれません。
しかし、他国に駐在経験のある奥さんの話によると「宗教上の制約があるところは大変」と話をしていました。
筆者は、アラブ圏での長期滞在経験がありませんが、イスラム圏では宗教上の制約があるところも多く、他にも現地の風習や習慣などによって日常生活に制約が加わってしまうところは多くあります。
そのため、住む国によって「文化のずれ」に関する「めんどくさい」の感覚は変わりそうです。
その他にめんどうと感じるシーン
他に駐在妻生活をしていてめんどくさいと感じることで話題にあがったのが「子育て」と「家庭環境の変化」と答える奥さんが多くいました。
子育てに関しては「預けるところがない」「ワンオペになってしまう」など、めんどくさいというよりも負担感が増えることを意味していることが多く、日本であれば親族や友人など頼ることができる人がいるのに、海外に住んでいると簡単に頼ることができないという点がめんどうと感じてしまう人も多いようです。
家庭環境の変化では「お弁当作り」を挙げている人も多数いました。日本であれば、旦那は外食、幼稚園が小中学校に通っている子どもたちは給食というように妻がお昼ご飯を作らなくてもよかったものが、弁当に変わるので毎日準備をしなければいけないのがめんどくさいと思っている人も多くいます。
他にもちょっと便利になるようなグッズが売っていなかったり、日本ならば100均にあるような便利グッズがなかったりなど、日本での生活は本当に細かいところまで準備されていると感じています。
ほかにも人の家に行くのに「スリッパをもっていかないといけない」「飲み水を買いに行かなければいけない」など些細なことでも「日本なら・・・」と思う部分がなかなかできないことに「めんどくさい」と感じてしまいます。
めんどうに感じることへの対処方法
駐在妻生活において、めんどくさいと感じてしまうようなことにはどう対応したらよいのでしょうか。
めんどくさいことにならない事前防衛策と対処方法について紹介します。
人間関係作りは慎重にそして先輩を敬う
日本人同士の人間関係作りは、慎重に、そして丁寧に行うことが大切です。
駐在をしている奥さんは、上流階級の人も多く、儀式的なことや恩義をとても大切にします。そして、これまで先人が培ってきたものを大切にする傾向があります。
そこで、人間関係を作っていくときには慎重に行いましょう。
特に新しい人に対しては「自分の手下」のように扱おうとする先輩駐在妻が寄ってくる傾向があります。あまりに近寄ってくる人は要注意の傾向があります。
誰か一人の意見を聞いて関係を作っているのではなく、視野を広くもって人間関係作りをしていくのが安心です。
2つ目は「先輩との人間関係」です。
同じ会社の先輩駐在妻だけでなく、現地に住んでいる日本人の先輩との人間関係も作っていかなければいけないことが多いです。
海外に住んでいる人は、日本以上に保守的な人が多くいる印象で「礼儀」や「儀式」をとても大切にする傾向があります。何か物事をするときには先輩に相談し、慎重に進めていくのがよいです。
現地の風習や歴史に詳しい先輩は、物事を進めていくときの相談先や手段について詳しく知っています。独断で進めていくと思いもしないところで地雷を踏むこともあるので注意しましょう。
現地の考えを受け入れ「日本なら」と考えない
次に「めんどくさい」と思わないようにするポイントは「日本なら・・・」という比較の志向を外すことです。
これは、とても難しく、筆者自身も思えるようになるには1年以上かかりました。どうしても、日本の生活の方が便利であったと考えがちになってしまいます。
そこで、筆者は「計画性が大事」と物事を考えるようにしました。
めんどくさいことにならないように意識しているのは
- 買い物などをする際には事前に計画を立てて移動する
- 常に1か月の予定を考えながら生活する
この2点です。
最初のうちは難しかったのですが、半年も経ってくると慣れてくるものです。
筆者自身、元々計画的に物事を考えて行動するのが苦手だったのですが、それが徐々にできるようになってきました。
日本で生活をしているときの良いことは「困ってもすぐになんとかできる環境」であったのですが、海外ではこれが難しく、めんどくさいと感じてしまいます。海外で困らないように準備しておくことを意識しています。
文化のずれに関しても、ずれているのが当たり前と寛容な心をもつことが大切なようです。
イスラム圏に赴任していた奥さんは、赴任直後、現地での風習、服装などにとても戸惑ったそうです。
しかし、こんな経験は「駐在妻だからできる」と考え方を見直したことで少しずつ受け入れていくことができたようです。いきなり現地の生活スタンスに合わせるのはストレスがかかりますので、少しずつ慣れていくのが大切と話していました。
言葉は学ぶしかないでも時間がある程度解決
コミュニケーション不足に伴って起きる「めんどくさい」を解決するには、勉強するしかありません。
勉強も現地に行ってから始めるのは遅いので、赴任する前から少しずつ始めていきましょう。
勉強する方法は、本を購入して自分で勉強する方法、英会話教室に通う方法などいろいろなやり方があります。
できるだけ効率よく英語力を身につけたいのであれば「英語コーチング」を利用して、個別最適化された学びをするのも良い方法です。
大切なことは、日本で完璧にしてから赴任をする必要はないという余裕です。
これは筆者の実感ですが、日本で「ちょっと分かる程度」でも十分です。具体的に言えば、中学校卒業程度の英語力があれば、現地で生活を始めることは可能です。
しかし、これだけでは「長期的に生活をしてこうとすると語学力不足では?」と思う人もいると思います。
でも、あとは時間が解決をしてくれます。現地で生活をしていれば、特に語学の勉強を意識していなくても、言葉に耳が慣れ分かるようになります。
もちろん、現地に赴任してからも語学の勉強を続けていれば、もっと速いペースで上達をしていきます。
まとめ
ここまで駐在妻が「めんどくさい」と思うことを紹介しました。
一番大きいのは人間関係です。
なぜなら海外の場合、人間関係が近く、親密であるが故にどうしてもプライベートな部分に他の人が入りやすくなります。
そこから変な話が出てしまうこともあるので、日本以上に発言や行動には気を遣わないといけません。
また、日本の生活とどうしても比較してしまう部分があります。
日本とは違うと割り切る気持ちと、多様なものを受け入れる寛容な心が駐在生活をうまく送るポイントです。