アメリカ赴任の駐在妻が知っておきたいこと

アメリカ赴任の駐在妻が知っておきたいこと

本記事では、アメリカで駐在妻をしている筆者が、これからアメリカに赴任予定の方に向けて、自分の経験を交えながら知っておきたい情報をまとめておきました。

「自由の国アメリカ」というイメージがあるかもしれませんが、実際に生活をしているとルールはたくさんあります。

しかも、日本と異なることも多いので事前に知っておくべきことは覚えておきましょう。

アメリカへ行く駐在妻に赴任前に確認しておくべきこと

アメリカへ行く駐在妻に赴任前に確認しておくべきこと

旦那のアメリカ赴任が決定して、駐在妻になるとなっても喜んではいられません。

赴任が決まると同時にやることがたくさん出てきます。

特に申請に関することは、的確に処理していかないと赴任できない、入国拒否など大きなトラブルになるケースもあるので注意しましょう。

パスポートやビザに関する手続き

赴任が決定すると同時にすぐ取り掛からなければいけないのが「ビザの申請」です。

アメリカへの入国ビザは審査が厳しく、ビザの申請が通らないこともしばしばあります。

しかも、時の政権や国際情勢にも左右されることがあるので最新情報を把握しながら、手続きしていく必要があります。

まず、初めに出国する家族全員分のパスポートを取得します。

旦那が公官庁の職員として赴任するケースでなければ、一般のパスポートで十分ですが、入国時に残りの期間が半年以上あるようにします。公官庁職員だと「公用パスポート」と呼ばれる別のパスポートを取得します。

パスポートの取得が終わったらビザの申請をします。

赴任する旦那の仕事の種類によりますが、一般的にはアメリカの「L1」または「E1」と呼ばれるビザを旦那さんが取得する場合、「L2」または「E2」と呼ばれるビザを家族は取得します。

取得に必要な書類は、旦那さんの会社からもらうことができるケースがほとんどです。会社によっては、専門の弁護士がついてビザの取得をサポートしてくれます。

ビザ取得で手間がかかるのは、ビザを取得する人全員が在外公館で面接を受ける必要があり、その予約を事前に取らなければいけません。

また、面接の際には家族にもいくつか簡単な質問があるので答えることができるように練習しておきましょう。

(私が実際に受けた質問)

  • 旦那の会社名
  • 赴任する予定の場所
  • 子どもがいるかどうか
  • 旦那と一緒に赴任するかどうか

簡単な質問ですが、指紋採取、面接が終わるとビザの発給手続きになります。

スムーズにいけば面接から一週間程度(アメリカの休暇期間に重なると遅れる)でビザの貼られたパスポートが到着します。

まずここまでやれば準備の第一段階が終わりです。

予防接種などの医療に関する手続き

アメリカでの治療はほぼ自己負担となるので非常に高額ですし、病院によっては治療を始める前にデポジット(前払い金)を収めないと治療を開始してくれないケースもあります。

まず、アメリカへ入国、ビザの取得に関して受けなければいけない予防接種は「新型コロナウイルスのワクチンのみ」となっています。(18歳未満を除く)

新型コロナウイルス関連ではワクチンを2回打った証明と搭乗直前に取得した陰性証明が必要になります。

これ以外にビザ取得に関して予防接種が必要という条件はありませんが、子どもがいる場合には注意が必要です。

子どもが小学校や中学校などに入学する際には、予防接種をした証明を求められることがあります。

多いのが「MMR」と呼ばれるもので「はしか(Measles)」「おたふく(Mumps)」「風疹(Rubella)」の頭文字からとった3つの予防接種です。

多くの人が子どもの頃にうっている予防接種ですが、これらの予防接種を打ったことを証明するものの提示が求められるケースがあります。

そこで、おすすめなのが母子手帳に書かれている情報を医療機関で翻訳してもらい英語版の接種証明を持っておくことです。

また、現地に日本人医師がいる場合もあるので、母子手帳を持参して証明が必要になったときに書いてもらう方法もあります。

州や教育機関によってはB型肝炎や破傷風などに対する接種証明を求められることもあるので、日本で情報が分かっている場合には医療機関で発行してもらいましょう。

子どもの教育に関する情報

学齢期のお子さんがいる場合ですが、教育に関する準備も進める必要があります。

アメリカで日本人の子どもが教育を受ける場合には大きく3つの選択肢があります。

  1. 現地校と補習校
  2. 日本人学校
  3. インターナショナルスクール

日本人学校という選択肢が真っ先に思い浮かぶ人も多いと思いますが、アメリカ本土には日本人学校が4つ【ニューヨーク、ニュージャージー、シカゴ、カリフォルニア(LA)】にしかなく、この近くに住んでいない限りなかなか通うことができません。

インターナショナルスクールは、中国人やヨーロッパ人向けの学校が多くあるものの日本人が通いやすいところは少なく、現地校と内容も変わらないので日本人駐在家庭の多くが選ぶのは「現地校と補習校」の組み合わせです。

補習校は週末のみ開講している日本人向けの学校で、日本の学校と同じカリキュラムで国語や算数を中心に教えてもらえます。

現地校やインターナショナルスクールに進学する場合には、英語の卒業証明修了証明書が必要になるので、日本の学校を出る前に準備してもらい、忘れないように持参しましょう。

日本人学校の場合は、日本語で書かれた「転出届」を持参すれば入学できます。

駐在妻となって気づいたアメリカ生活で日本と大きく変わること

駐在妻となって気づいたアメリカ生活で日本と大きく変わること

アメリカは地域の物価の違いが激しい

アメリカで生活をし始めて、気づいたことの1つ目が地域による物価の違いでした。

日本では、大都市圏と農村部であってもコンビニの商品価格に大きな差はありません。しかし、アメリカの場合、住んでいる場所によって大きな違いがあります。

特に驚いたのが、ニューヨークと南部のマイアミ、金融街であるニューヨークの物価が高いのは有名ですが、観光地のマイアミも物価が非常に高く、500mlの水が2.5US$と驚くような値段でした。

ニューヨークの物価の高さも有名で、ラーメン屋さんでラーメンに、ビール、餃子をつけると約5000円になるというのは、冗談のようで本当の話です。

ニューヨークの物価が高い一方で、すぐ隣のニュージャージー州に移動すると水の値段が一気に下がるところもアメリカらしいです。

日本の感覚で言えば、東京と埼玉のコンビニで売っている水の値段が変わるのと同じです。

自動車がないと生活しにくいアメリカルールも日本と違う

アメリカに駐在するとニューヨークやロサンゼルスといった大都市ばかりでなく、デトロイトやシカゴといった地方の大きな都市に赴任する人も多いと思います。(私もその一人です)

都市であれば、鉄道などの公共交通機関が発達しているというイメージがあるかもしれませんが、それは本当に大きな街だけ、基本的には「車社会」というのがアメリカです。

アメリカで運転というと「左ハンドル・右側通行」「ウィンカーとワイパーが逆」という基本的なことは駐在することになれば知っている人も多いのですが、それ以外にも日本と異なるルールがあり、私も含めて警察に捕まった人はいます。

そこで、駐在して車を運転することになる人に知っておいてほしい「日本と異なるルール」を3つ紹介します。

子どもを事故から守る黄色いスクールバスを見たら一旦停止

最初に恥ずかしながら私自身が警察に捕まった経験から、黄色いスクールバスのお話をします。

アメリカの学校はスクールバスでの送迎が多く帰宅時間になるとたくさんのスクールバスを見かけます。

アメリカでは、遠くからでも視認できるようにスクールバスは黄色で統一されていますが、このバスが要注意です。

まず、バスが停車したら「追い抜きは禁止」です。

どんなに反対車線が空いていても追い抜いてはいけません。

また、対向車もバスが動き出すまで一旦停止になります。

子どもが飛び出してくる可能性があるため一旦停止になっていますが、日本では追い抜き、すれ違いの禁止まではなっていません。

スクールバスには安全を守るため警察車両が同行していることもあり、知らずに追い抜きすると捕まります。

専用車線が多く存在する

日本でも「バス専用車線」があり、道路の一部車線を特定の車しか走ることができない車線にすることはよくあります。

アメリカにも同じものがありますが、条件が非常に複雑です。

例えば「Carpool」と表示されている車線は、複数人が乗っている車が優先される車線であり、一人乗りの場合違反になります。

さらにサインの中に「2 or more」(二人以上)、「3 or more」(三人以上)などと細かく指定されていることもあり、注意が必要です。

また、基本的に信号が赤でも右折は可能なアメリカですが、左折に関してはルールがあります。

対向車線を横切ることになる左折に関しては、左折専用レーンがあるのですが、日本のように車線の端にあるとは限りません。

黄色い線で囲まれている左折専用レーンがいきなり真ん中に出てくることもあります。

ほかにも日本と同じ「バス専用レーン」「エコカーなどの環境に良い車専用車線」など、日本とは異なるルールが多く存在するので注意しましょう。

チャイルドシートは必須 助手席に子どもも厳禁

駐在の奥様がアメリカでやってしまう交通違反の1つにチャイルドシートの着用と子どものシートに関することがあります。

細かい点は州によって異なるので、事前に確認が必要ですが、およそ共通しているのが次の点です。

  • 年齢関わらず後部座席はシートベルト着用(一部の州を除く)
  • おおむね0~7歳まではどこの州でもチャイルドシートが必須(州によって若干の差があり)
  • チャイルドシートの着用は後部座席
  • 13歳以下の子どもは助手席に乗せない

特に注意したいのが助手席の扱いです。

日本では、子どもを助手席に乗せても特に罰則はありませんが、アメリカでは罰則になるケースが多いので気を付けましょう。

アメリカでの休日の過ごし方は?日本との違い

駐在するとアメリカでの休日の過ごし方も気になるところだと思います。

アメリカでの休日は、土日と長期休暇によって過ごし方が大きく異なるのが特徴です。

まず、一般的な土日の過ごし方は日本とあまり変わりません。

家庭でのんびりしている人もいれば映画を見に行く人もいます。

映画は日本よりも早く配信されるので、少し日本の人より優越感があるかもしれません。

日曜日は礼拝が行われているので、日曜の午前中は教会に行くという人がいるのは日本との違いです。
生活スタイルで面白いのは「休日の朝がゆっくり」という点です。

開店直後のスーパーが朝から混んでいることはほとんどなく、徐々に混み始めて昼ぐらいからピークになる感じです。

そのため、ゆっくりと買い物をしたいのであれば午前中がおススメになります。

ただし、お店の準備も開店してから行うような文化なので、開店直後は品ぞろえが悪いこともあるのがアメリカらしいところです。

過ごし方が違うのが長期休暇です。

学校が休みになる6月下旬から8月末にかけて、クリスマス前の2週間などが長期休暇となり、駐在妻は日本に帰国したり、旅行に行ったりします。

旦那は仕事で動くことができないので、奥さんと子どもだけ先に動くというケースもあります。

面白いのが「サマースクール」と呼ばれるもので、夏休み限定で企業などが教室を開き、子どもが通うことができます。

インターナショナルスクールのサマースクールだとキャンプに行ったり、英語の勉強をしたりします。

文房具などを販売している大手企業が行っているサマースクールは、さまざまな道具を使って工作やお絵かきを一週間かけて行うプログラムが用意されています。

サマースクールは幼稚園児から高校生まで教室が用意されていて、通うのも「週1回」や「指定の一週間」など自分たちの予定に合わせて通うことができるので人気があります。

現地の言葉に触れることができますし、子どもたち同士で新しい人間関係作りもできる場所です。

アメリカでの駐在生活を実際に経験して

アメリカでの駐在生活を実際に経験して

アメリカでの駐在生活をして、これから駐在を考えている人に少しアドバイスを送りますので、参考にしてください。

語学力は必須 語彙力が大切

アメリカで駐在をするのであれば、語学力は必須です。

できれば高校卒業程度の英語はできるようにしておきたいですが、できるだけ単語をたくさん知っておくと便利です。

多少発音が悪くても通じますし、耳は何度も英語を聞いていれば慣れていきます。

余裕があれば、日本を出発する前に英語の勉強はしておきましょう。

英語で話すことへの抵抗感を払しょくすることと単語の語彙力をつけておけば現地に行ってからかなり楽です。

日本での英語の勉強は英会話教室に通ってもよいですし、オンラインの英会話教室でもよいです。

長期的に学習していくことを考えれば、オンライン英会話教室がよく、アメリカに赴任してからもインターネットを利用して日本のオンライン語学教室に通っている駐在妻も多くいます。

アメリカに駐在している日本人はどんな人が多い

アメリカに駐在している日本人はエリアによって業種が大きく変わります。

ニューヨークやロサンゼルスは銀行関係や商社関係の人が多く、働いている人の年齢層も高めです。

そのため、夫婦二人で赴任している人が多く、お子さんは大きくなったので日本にいるという家族形態があるのが特徴です。

一方、デトロイトやシカゴ、テキサスなどの内陸部は自動車関連企業が多く進出している関係からエンジニアが多いのが特徴です。

エンジニアで働いている人は若い世代が多いので、子どもも小学生や幼稚園児を連れてファミリーで赴任している人が多い傾向があります。

赴任する場所によって住んでいる家族、会社の立場、収入が大きく違うのは海外生活ではよくあることです。

住む場所によって考え方が全く違う文化

アメリカでは住む場所によって人の考え方が変わる面白い文化です。

日本でも県が変わると文化が変わる傾向がありますが、アメリカでは州が変わると「全く違う国に来たのでは?」と思うようなことがあります。

運転免許の取得年齢は州によって変わり、消費税に代表される課税額も州によって違います

私自身、スタートはテキサスでしたが、テキサスはアメリカの昔からの文化を大切にする傾向があり、自分たちが昔からやってきたことに誇りを持っています。

宗教的な行事、地域の行事、メキシコ系移民との交流などをとても大切にする傾向があります。

一方、ニューヨークやボストンは様々な文化が入ってくる場所のため、他の国から入ってくる人に対してとても寛容ですし、外国の文化をどんどん受け入れ、新しいものを作り出していく傾向があります。

流行り廃りが早く、口の悪い人は「使い捨ての文化」という人もいますが、世界の最先端を体験できるのがニューヨークです。

家の住み方もニューヨークの人は賃貸で移動しながら生活する、テキサスの人は家を買って、どっしりと構える傾向があり、家の住み方1つとっても文化の違いを感じます。

まとめ

まとめ

私が実際にアメリカに駐在して感じたこと、気が付いたことをまとめました。

駐在妻になると意外と大変なことが多くあります。

特に法律や風習などは現地に合わせる必要があり、日本では大丈夫なことでもアメリカでは禁止されているということが多くあります。

まずは、自分の身を守るためにも「禁止されている」部分だけは確実に覚えましょう。

何が禁止されているのかが分からない場合には、実際に現地に生活している人の話やブログで公開されている情報がとても役に立ちます。

また、最低限のコミュニケーションができる言語力、人としてのマナーも海外生活では大切です。

  • この記事を書いた人

emikyon

ドバイ、アメリカ、メキシコでの駐在妻を経験。大好きな海外旅行の際に、飛行機のマイルを貯めることもライフワークの一部。元小学校教諭。英検準1級。

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