ここを読んでいる読者の皆様は「駐在員の妻の生活」というとどんなものをイメージするのでしょうか。
そんなイメージをもっている人がいるのではないでしょうか。
もちろん、そんな人も一部でいますが、実際には本当にごく一部の人たちの話です。実際は、日本と同じように日々家事労働を含めて忙しく生活をしている駐在妻が多いです。
しかし、少し違うのは、せっかく海外に来ているので「駐在妻だからできることをしよう」を考えている人はたくさんいます。
そこで、実際に海外駐在歴8年目を迎える筆者が日々どんなことをしているのか、また周りの人はどんなことをしているのか紹介します。
もくじ
駐在妻はどんなことをしているの
はじめに、駐在妻はどんな生活をしているのと質問されることがありますが、基本的には日本の生活と同じです。
朝、旦那と子どもたちを送り出し、洗濯や掃除などの家事労働、さらに買い物などをしています。夕方になれば夕食を作って待つという専業主婦の基本パターンのような生活をしています。
違いと言えば、日本にいるときには仕事をしていたので、家事については仕事が終わったあとの時間を利用していましたが、駐在妻になったらフルタイムの仕事ではなくなったので、昼間に家事の大半をすることができるようになりました。
では、暇になったかと言われるとそんなことはあまり感じません。
確かに仕事はなくなったので、空いている時間は増えたような感じはします。
しかし、日本であればそんなに時間のかかることではないことが海外では非常に時間のかかることも多いのです。
さらに海外では、日本以上に暇な時間はお金を出せば買うことができます。
お手伝いさんやベビーシッターを雇えば、暇な時間を作り出すことができ働くことも可能です。
アメリカであれば日本以上に育児に関するシステムは充実しています。ただ、筆者の周りにいる駐在妻は、完全に子育てや清掃などを外部に任せている人は少なく、自らやっている奥さんが多いです。
旦那のサポート
駐在妻になって、日本の生活と変わったことが旦那のサポートをしなければいけないという点です。
勤務時間そのものは日本も海外もそんなに変わらないのですが、会社として婦人会のようなものがあり、そこでの活動が増えてきました。
婦人会と言っても、同じ海外に赴任しているサポートをすることが主な仕事で、赴任したばかりの家族を手助けしたり、通訳として支えてあげたりします。
自分たちも赴任したばかりの頃は、先に赴任していた仲間たちに支えてもらった経緯があるので、その恩返しをしている感じです。
日本にいたころは、旦那の会社の奥さんたちとつながりをもつということは、ほとんどありませんした。しかし、海外に赴任すると日本人会があり、その中で各自できることをしていく空気があります。
また、旦那を直接支えることも大切になります。
慣れない環境で仕事をしていくのは、海外赴任に慣れた人でも精神的なストレスは大きくなります。
妻としては、旦那の健康状態や食事などに気を遣いながらサポートをしています。
海外生活の場合、食生活にはかなりの気を遣います。
日本であればスーパーで購入したものをそのまま使っても大丈夫ですが、アメリカでさえ一部の商品は消毒をしないと使うことができないので、こうした作業も負担になります。
子どものサポート
駐在妻生活が、暇にならない要因の1つが「子どものサポート」です。
日本であれば、登校する子ども見送って終了になりますが、海外ではそうはいきません。
スクールバスがあればその場所まで送迎しなければいけませんし、ない学校は学校まで送迎をしなければいけません。
日本の小中学校と同じように子どもだけで学校に通うということは、海外ではありえません。
高校生であっても一人で通うことができる場所は、限られた国や場所になります。
子育てに費やす時間は日本と比べると大幅に増大しました。
筆者の家庭でも、普段は現地のスクールに通っていますが、週末になると日本人学校の補習校に通っているので、その準備や送迎といったものに時間が取られます。
普段遊びに行くときにも親が付いていく必要があり、近所の公園であっても一人で行かせることはできません。習い事1つとっても日本のように自由にさせることができないので、どうしても保護者が付き添いをする必要があります。
子どもがいる世帯といない世帯では、日本以上に子育てに関わる時間の差があり、子育てのサポートが必要な駐在妻は、多くの時間を子育てに取られることになります。
子どものサポートに関して言えば、もう1つ、周囲の協力が少ないのも忙しい要因になっている感じがします。
日本であれば、祖父母などの親族の手を借りることができることもありますが、海外ではそれができません。どうしても「ワンオペ」のような状態になりがちなので、子育てに取られる時間が多くなります。
日本人としてのサポート
3つ目によくあるやることが日本人としてのサポートです。サポートと言ってもだれかを支援するというわけではなく、日本人だからこその活動が多くあります。
例えば、筆者が住んでいる北米の場合、居住している地域によって日本人会というものがあります。
日本人会では、赴任してきたばかりの人を人をサポートする他に、これから赴任をする予定である人の質問に答えるような活動もあります。
また、秋祭りなどのイベント準備や日本人学校の補習校で開催される行事の手伝いなど、多くの仕事が割り振られるケースもあります。行事の主務者らイベントの開催当番などに当てはまると少し大変です。
時間は日本よりもたくさんあるが制約は多い
駐在妻の自由な時間は、筆者の周りにいる人の話を聞く限り、「日本いた頃よりも自由な時間は多い」と答える人が多いです。
この理由としては、日本にいた頃は何らかの仕事をしている人が多かったのですが、駐在をするに当たり仕事を辞めて専業主婦となっている人が多いためです。
仕事をしたくても査証の問題
駐在妻は暇な時間が多くあるかと言っても簡単に仕事をすることはできません。
なぜ仕事をするのが難しいのかというと「査証(VISA)」の問題があります。
査証は、駐在する国に滞在を許可するもので、滞在の方法によっていくつかの査証が発行されます。
観光での滞在など3ヶ月程度以内であれば査証の取得を義務付けていない国も多いので、海外旅行に行くときには査証のことを意識することは少ないです。しかし、駐在の場合には査証を意識しないわけにはいけません。
まず、基本的に駐在をする場合、メインの収入を担う人(旦那)の取得ビザは「就労ビザ」と呼ばれるものを取得します。査証の取得は決して難しいものではなく、法律に則って手続きをしていけばクリアすることができます。
では、駐在妻はどんな査証になるのかというと「就労ビザの家族ビザ」や「家族ビザ」とよばれるものを取得することになります。
家族ビザの場合、基本的に就労をして給与を得ることができません。
アルバイトであっても就労して収入を得るためには、就労をすることができる査証を保つ必要があります。
就労が許されていないビザで就労をしてしまうと大きな問題となり最悪、強制帰国に繋がる恐れもあります。旦那の働いている会社に対しても大きな迷惑をかけることになります。
しかし、仕事ができないわけではありません。
仕事をするときには、自分の保有している査証で就労をすることができるのか、できないのかを事前に確認してから行いましょう。
実際に就労をしている人が周りにいれば、参考になりますし、不明な場合は法律に詳しい専門家に聞くのが良いです。
査証の問題をクリアして働く
駐在妻をしていると現地で就労している人も多くいます。
暇な時間を過ごすくらいであれば、査証の問題をクリアして働くという選択をする人も多いのです。
査証の問題は、決して難しいものではなく法律に則って解決をしていけばクリアーすることができます。
就労する条件が整ったら、働いてみるのも良い方法です。駐在妻の働き方として多いのは2つの方法です。
- 日本にいた頃のスキルを活かして日本人相手の仕事をする
- 現地の求人情報からアルバイトを探す
この2つになります。
1の方法を活用している人は日本で何らかのキャリアや資格を有している人が、日本人相手に仕事をしています。
例えば
-
- ピアノを自宅に保有しておりピアノのスキルがあるので現地の子女を相手にピアノ教室を開催している。
- 美容師をしていた経験を活かして自宅で美容室を行っている。
- 得意の料理を活かして日本人相手に日本食惣菜の販売をしている。
などなど、自分のもっているスキルを活かして暇な時間を稼ぐ時間に変えている人もいます。
日常生活でも制限がある
駐在妻の生活が暇と感じることができないのは、日本での生活様式とは代わり、何をするのにも時間のかかる傾向があるからです。
例えば、日常の買い物でも、日本であれば自家用車に乗ってスーパーに行き買い物をすれば用を済ませることができます。
北米でも同じような感じで生活をすることができますが、メキシコではそんなに簡単ではありませんでした。
まず、メキシコの場合、国際免許が使えず、現地で免許取得(スペイン語の試験を合格する必要がある)をしなければいけないので、自家用車を持つことができませんでした。そのため、買い物をするのにも徒歩で行くか、タクシーを利用しなければいけません。こうなると買い物1つするにしても時間がかかります。
他にも利用することができる交通手段を制限されている駐在妻も多く、アメリカであっても地下鉄の利用を禁止されていたり、流しのタクシーを使うことができなかったりするケースもあります。
日本と比べると海外での生活は制約が多いので、時間がかかる傾向があります。
ただし、赴任する国や場所によって制約の差が大きいです。
比較的日本と同じような行動をすることができる国や地域であれば楽ですが、発展途上国や治安の面で不安を抱えているような国の駐在妻だといろいろなことに時間がかかります。
自分磨きをしている人も多い
駐在妻をしている人は、日常生活をしている間に家事ばかりをして過ごしているわけではありません。
自分のこれからの人生設計や家族のことを考えて自分磨き(スキルアップ)を考えている人もいます。
駐在妻となっている人の多くは、日本にいた頃に仕事をしていた人も多く、日本に戻ってからのことを考えて準備しているケースもあります。
帰国後を考えて語学スキルのアップを
駐在妻のスキルアップとして暇な時間を活用して行っているもので一番多いのが「語学スキル」のアップです。
語学スキルのアップは、将来的なことを考えて勉強するだけでなく、駐在中のスキルとしてもすぐに使うことができます。
駐在中の生活を助けることができ、なおかつ将来的に活かすことができることとして、語学スキルのアップを目指します。
語学スキルのアップ手順〜まずは学んで高める〜
語学スキルをアップさせる手順としては、まずはじめに自分自身能力を伸ばすことから始めます。
日本から語学学習をしてきたのであれば、その学習を継続する方法もあります。
特に最近人気になっているオンラインの語学学習は、日本で学んでた方法をそのまま海外でも継続することができるので、勉強方法を変えずに学び続けることができます。
他には赴任してから家庭教師をつけてもらい勉強する方法です。家庭教師の先生についてもらえば、現地で困ったときに通訳として活躍してもらうこともできます。このような勉強法を通して能力を高めていきます。
語学スキルのアップ手順〜使って定着〜
ある程度学んできたら次は「使うことによって定着」させます。
これは暇な時間に行うことができるものです。日常生活をしながら学んだ言葉を使います。日本人として生活をしているとどうしても日本人が多くいるようなお店に行ったり、友達と集まったりしがちになりますが、あえて現地の仲間の輪の中に入っていきましょう。
はじめはなかなか言葉が伝わらずに困るかもしれませんが、ある程度経過すると言葉が通じるようになります。
また、相手に通じるようになると、さらに学習へのモチベーションを高めることができて、好循環が生まれます。
語学スキルのアップ手順〜資格を取得しておく〜
帰国後のことを考えて、語学スキルのアップを考える場合には、資格や検定の取得も視野に入れておきましょう。
日本に戻ったときのことを考えると語学に関する資格はあったほうが優位になります。
英語で代表的な検定といえば
- 英検(実用英語技能検定)
- TOEICListening & Reading Test
- 日商ビジネス英語検定
このあたりが代表的なものになります。
資格を取得するのであれば、一般的な人が持っている数値以上(英検で言えば2級以上)の資格はほしいところです。
海外駐在という語学を勉強するにはとてもよい環境にいますので、この環境を最大限活用しましょう。
検定については、海外の大都市であれば現地で実施しているところがいくつかあります。また、日本へ一時帰国するタイミングを検定試験に合わせるのも賢いやり方です。
語学のスキルに関しては英語ばかりが求められているわけではありません。中国語や韓国語、スペイン語など日本でもよく話されている外国語には、日本語との間で検定試験が行われています。
日本に戻ったあとも自分が生活をしていたところの語学スキルを活かすことができる可能性もあるので、駐在中に暇な時間があるのであれば取得してみるのも良いです。
海外に居るからこそ新しいことをはじめる
海外に駐在をすることができる人は多くありません。
そこで、海外にいるからこそ「新しいことをはじめる」という人もいます。
例えば、SNSを活用して住んでいる場所や日常生活について情報の発信をしてみると、そのエリアに住んでいる人やこれから居住を考えている人との繋がりが生まれます。自分の知らない世界を知るきっかけになるかもしれません。
また、今はパソコン1つあれば仕事をすることができる時代です。
クラウドワークスなどのネットでできる副業を始める人もいますし、海外でしか手に入らないようなものを日本に送ってオンラインで販売する会社を立ち上げた人もいます。
報酬を得ることはできないものの日本人学校のサポートスタッフとして現地の学校運営に多大な貢献をした人もいます。
海外に住んでいるからこそ、日本ではできないことをやってみようという意識があれば、暇な時間を色々な時間に帰ることができます。
新しい資格を通信で取得もできる
今はオンライン化によって海外にいても様々なことをすることができるようになりました。
そこでオンラインを利用した資格の取得も駐在妻の間ではブームになったこともあります。
日本で働いていた経験があれば、それに関係した上位資格を取得すれば優位になります。また、これまでやったことがない全く新しい資格にチャレンジしている人もいます。
駐在生活が長くなりそうな人は、日本の資格を海外で取得し、取得した資格をそのまま海外で活かして活動している人もいます。
海外では日本の資格は通じませんが、日本人相手にサービスを提供するのであれば資格があったほうが有利になります。
人気が高いのはヨガやスポーツのインストラクター、フードコーディネーターなどの食品関係、ネイルなどの美容関係の資格が駐在妻の取得する資格としては人気があります。
まとめ
ここまで駐在妻の日常生活の過ごし方について解説してきました。
駐在妻になると暇というイメージがあるかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。
家族構成や居住している場所によっては日本以上に忙しくなることもあります。
筆者も2人の子供連れて赴任していますが、日本以上に忙しいのではと感じるときもありました。
でも、海外で生活をしているときしか経験できないこともあるので、こうした経験を楽しみながら生活をしています。