海外赴任をするとなると大規模な引っ越しをしなければいけません。
国内の引っ越しであれば家財道具を持っていくのが前提ですが、海外の場合
- 持っていく
- 日本で保管する
- 処分する
この3つに分かれます。特に家電製品は、海外で使おうと思うと一工夫しなければいけませんし、日本で保管するにも保管場所に困ります。
それでは実際に使っている家電製品はどうすればよいのでしょうか。
そんな悩みを解決するヒントをここでは提供します。
もくじ
現在使っている家電について
持っていくことも可能
日本で利用していた家電については海外に持っていくことが可能です。実際に駐在生活をしている人の中でも日本から家電製品を持ってきている人は多くいます。
特に最近では複数の電圧に対応することができる電子機器が増えています。
スマートフォンやパソコン、タブレット端末、ゲーム機といったものはほとんどの駐在の人が持ってきています。
これらの家電製品に共通しているのは「軽い」「複式電圧対応」「海外で手に入りにくい」この3点が共通しています。
他に日本から持参してくることが多い家電製品には「ホットプレート」「炊飯器」などのキッチン用品、美容道具やアイロンといったようなものを持ってくる人もいます。
これらの家電製品にも共通しているのが「海外で手に入りにくい」という点です。特に日本人にとって大切な「ごはん」を作るための炊飯器は海外で見かけないので、日本からわざわざ持ってくる人が多くいます。
持参を考えるときの注意点
家電製品の持参をするときには、大きく3つの注意点があります。
1つ目が「電圧」の問題です。日本ではコンセントから流れてくる電圧が交流100Vですが、海外ではこの電圧が国によって違います。メキシコでは110Vですし、中国では240Vを採用しています。
パソコンやスマートフォンの電源のように「100-240V」の表記があれば問題なく使うことができますが、100V対応の家電製品は使うことができません。
代表的なものでは「炊飯器」「ホットプレート」などの発熱を伴う機器は複式電圧に対応していないものが多いです。
違う電圧で日本の家電製品を使う場合には「変圧器」が必要になり、しかも炊飯器レベルの電力に対応できる変圧器となると数万円します。
こんな手間をかけたり出費をしたりするのであれば、現地で購入する方法や炊飯器ではなく圧力釜でごはんを炊くといった方法に変える人もいます。
2つ目が、「コネクター」の問題です。電源に接続する部分の形状も国によって違います。
日本では「Aタイプ」と呼ばれている形を採用していますが、国によっては「Bタイプ」や「Oタイプ」と呼ばれているものを採用しているところもあります。接続するためには、コンセントの形状を対応させる機器を取り付ける必要があります。
3つ目が「輸送」の問題です。駐在する際には荷物を海外まで運ぶことになります。
この際船便や航空便を選択して荷物を運びますが、家電製品はどうしても「重い」「かさがある」ものが多いです。
炊飯器やパソコンは重量がありますし、電子ピアノや掃除機となると重さだけでなく容積も大きいです。また、輸送中に破損や盗難にあうリスクもあります。
船便は容積で値段が決まりますし、航空便は重量と容積で値段が変わります。
引っ越しに使うことができるお金が「会社負担」で余裕があれば、すべての家電製品を持って赴任できますが、上限が決まっている場合には、全部を持っていくことはできません。
これら3つの注意点を意識して「持っていくもの」「持っていかないもの」に分けます。
持っていくのに便利な家電は
では、自宅にある家電の中でも持っていくのに便利な家電はなんでしょうか。ここでは、実際に私の周りで日本から「持参している率の高い家電」を紹介します。
スマートフォン、ゲーム機、タブレット端末
現在の生活に欠かすことができない存在のものです。小さくて軽いので手荷物に入れて機内で使いそのまま、現地でも使っている人が多いです。
炊飯器
現地でも美味しいお米を食べたいという人は炊飯器を持参しましょう。これは海外では手に入りにくいです。ただし変圧器が必須になるので持っていくだけでも重量は10kgを超える覚悟がいります。
美容用品(ドライヤー、ヘアアイロンなど)
赴任してすぐに必要という人も多く、日常生活の中で手放すことができないのでそのまま日本から持ってきているという感じの人が多くいます。海外でも手に入れることができますが、日本より少し高いです。こちらも変圧器が必要になることが多いです。
家電をもっていかない場合
では、海外赴任をする際に家電をもっていかない場合にはどうすればよいのでしょうか。
次は、家電をもっていかない場合、日本に残していく家電製品をどうすればよいのか解説していきます。
残る家電はトランクルーム?
家電製品を海外にもっていかない場合、実家や親族の家で預かってもらうという話はよく聞きます。
では、そのような場所がなかったり、冷蔵庫や洗濯機のような大型家電であったりするものはどうすればよいのでしょうか。
よく使われているものが「トランクルーム」です。
トランクルームは大型の貸倉庫のようなもので、温度管理のしっかりとされた屋内型のものと屋外型のものに分けられます。
屋外型のものは雨漏りをするリスクや温度管理、湿度管理がされていないので、家電製品を預けるには不向きです。
トランクルームを選択する場合には、屋内型のものを選ぶ必要があります。
価格はトランクルームの大きさや場所によっても変わりますが、1月当たり1万から3万程度かかります。年間にすると利用料金がかなり高額になります。
さらに帰国時期が分かっているのであればレンタルしやすいですが、いつ帰国できるか分からないという状況では、レンタルルームの契約はしにくいです。
日本においておくメリットとデメリット
家電製品を日本においておくメリットは、帰国後にすぐ生活を始めることができるという点です。
また、冷蔵庫や洗濯機といった大型の家電を購入するとかなりの出費になりますが、それを抑えることができます。
しかし、実際に駐在している人から話を聞くと家電製品を日本に残してくるという人は少ないです。理由は3つあり
- トランクルームを借りるのにコストがかかる
- いつ帰国できるのか分からないので、家電製品を置いておいても劣化する
- 帰国してから購入したほうが新しいものを購入できる
上記のような理由です。家電製品は、そのまま残しておいたら大丈夫かと言われれば、そんなことはなく徐々に劣化していきます。
特に洗濯機や冷蔵庫などの水が付くようなものは錆が出て、帰国したら使い物にならないこともあります。
高額なトランクルームを借りてまで保管するぐらいなら、帰国してから新しいものを購入してもそんなに出費は変わらないことにもなります。
家電から少し離れますが、上と同じ理由で処分を検討しなければいけないのが「自家用車」です。
自家用車を海外まで持っていく人はほとんどいません。しかし、日本でそのまま残しておいても車検費用や自動車税の支払いが発生します。
動かさなければ車体の細部が劣化していくため、帰国後に正常に動くかどうかの不安があり、売却してくる人が多いです。
海外で手に入れるメリットとデメリット
日本で利用していた家電を持って赴任しない場合、現地で購入することになります。
では、現地で家電を購入するメリットとデメリットを紹介します。
メリットは、重たいものを持って赴任しなくても良いという点です。赴任するときの荷物が大きく、重量があるのは輸送費がかかるだけでなく、運ぶのも負担です。
現地で購入すれば重たいものを持っていかなくて済みますし、変圧器やアダプターの手配をする必要もありません。
2つ目のメリットは、現地生活にあった家電製品を購入できる点です。現地の家がどのよう者であるかは赴任してみるまで分かりません。
冷蔵庫や洗濯機を置くことができるスペース、キッチンスペースに合わせたキッチン用品など生活に合わせたものを購入できます。
一方でデメリットもあります。
1つ目が初期コストです。赴任してからすぐに高額な買い物をしなければいけなくなるのである程度の資金を準備しておく必要があります。
クレジットカードで支払いをするのでもカードの限度額を引き上げておく対策が必要かもしれません。
2つ目のデメリットが使い捨てになってしまう点です。家電製品は一般的に寿命が「5年から8年程度」と言われていますが、その期間を迎える前に日本に帰国になってしまう可能性があります。
海外で購入した家電製品は、帰国時に日本に持ってこようと思っても電圧やコンセントの違いで使えないことになります。
しがたって、せっかく買っても中古買取店に売却したり、現地の友達に勝ってもらったりすることになります。
ぜひ持っていきたいおすすめの家電
ここまで駐在の際に家電をどうするのかについて紹介してきました。そこでぜひ赴任する際持っていきたい、現地で購入したい家電について紹介します。
日本からぜひ持参したいものは
ここまでにも既に「炊飯器」「美容用品」を紹介していますが、それ以外にも持参した方が良い家電製品を紹介します。
プリンター
パソコンを利用して仕事をするのであれば必要になるプリンターですが、可能であれば持っていくと便利です。
理由は2つあり、1つ目は現地で購入すると説明が全て英語になっています。設定画面の言語も意味が分からないというケースがあるので、使い慣れたものの方が操作しやすいです。
特に最近のプリンターはコピーやスキャナーも兼ねた複合機になっているので、日本語表示の方が使いやすいです。
もう1つの理由は紙のサイズです。日本では「A4」「B4」といった言い方をしますが、海外では「Letter」というサイズが主流で、プリンターもこの大きさがメインになっています。A4やB4といったサイズ設定が付いていないものもあります。
ホットプレートなどの卓上コンロ
ホットプレートやタコ焼き機など卓上で電気を利用してものを温めたり、焼いたりすることができる道具があると便利です。
卓上コンロは海外であまり見かけません。でも、赴任直後にすぐ使うことができますし、お湯を沸かすことも可能です。
暖房器具(ホットカーペットなど)
気候が寒いところに行く人限定になるかもしれませんが、暖房器具も日本から持っていくと便利です。
特に一般的なヒーターは海外でも販売されていますが、布団の中に入れるような「電気毛布」や床に敷くようなホットカーペットは販売されていません。
日本人ならちょっと寒い時に布団にいれたり、職場で足にかけて仕事をしたりしている人も多いのではないでしょうか。
電気式の毛布やカーペットが手放せない人は持参することをおすすめします。
現地に行ってから購入したいものは
逆にわざわざ日本から重たい思いをして持参しなくても現地で購入したほうが便利なものもたくさんあります。
その一例を紹介します。
掃除機
海外で掃除をするのに欠かすことができない掃除機ですが、本体も消費電力も大きいので現地で購入するほうがおすすめです。
世界的に有名なメーカーの掃除機は多くの場所で売っていますし、価格も日本と変わらないぐらいです。
ロボット掃除機も購入可能です。海外の場合、日本のようにフローリングや畳の床は少なく、現地の掃除環境に対応した機器の方が便利です。
電子レンジやトースター、コーヒーメーカー
電気を使う量の大きさで言ったら「電子レンジ」「トースター」も現地購入をおすすめします。
これらは日本から持参しても変圧器が必要なケースが多く、電気容量が大きいので変圧器も高額になります。
変圧器購入や輸送のコストを考えたら現地購入の方がやすくなります。
テレビやビデオ
最近はパソコンでテレビを見ることができるようになってきたので、テレビやビデオを購入する人は減っているかもしれません。
でもテレビ類が欲しい場合は、現地購入をおすすめします。
理由は、テレビやビデオの信号方式が違い日本のものでは見ることができないことが多い点と日本ではあまり見かけない韓国製や中国製の製品が多いので安価に手に入ります。
まとめ
海外赴任する場合、それまで使っていた家電製品をどうするかは大きな問題です。
持参する方法もありますが、「現地で手に入らないものに限定する」ことが大切です。
赴任してからでも生活に必要なものは十分に手に入ります。
日本に残しておく方法もありますが、保管料や経年劣化をすることを考慮すると、特別なもの以外は処分してしまうのが得策と言えます。