簡単に翻訳をすることができる機器として利用者を増やしているポケトークですが、駐在の場合、どこまで使うことができるのでしょうか。
実際に赴任中に使ってみた感想と、有効性を紹介します。
もくじ
ポケトークの有効性について
ポケトーク(POCKETALK)はソースネクストから出ている音声翻訳機です。
発売以来、性能が認められて利用者を増やしています。
駐在が決まってから購入するという人もいますが、実際にどこまで使えるのでしょうか。
ポケトークって何
ポケトークは、双方向の音声翻訳機で、販売本数だけで言えば翻訳機業界ではNo.1になります。
世界74の言語に対応しており、機器の大きさも手のひらサイズなので、海外旅行に行くときのお供として持っていく人や日本国内にいる日本語が不自由な人との会話で用いる人も多くいます。
ポケトークの良いところは、インターネット上にあるAI(人工知能)を利用して翻訳をしているので、長い文章であっても翻訳をすることが可能です。
また、発売された当初よりもAIの性能がアップしているので、これからもどんどん翻訳機能が上がっていく予定です。
高度な情報処理能力を持っているので、聞き取った言葉を文字にしたり、文字にしたものをそのまま保存しておいたりする使い方もできます。
スマートフォンの翻訳アプリに比べて性能が良いところと、わざわざスマートフォンを出して利用しなくてもボタン操作1つで使うことができる点が人気の理由になっています。
実際にどれくらい使うことができるの
実際に駐在生活をしていると日本からポケトークを購入してきて使っている人は多くいます。
数年前まではGoogle翻訳などのスマートフォンに入れることができるアプリを使っている人が多かったのですが、最近ではポケトークを持ち込んでいる人の方が多いぐらいになっています。
私が住んでいるメキシコは英語ではなくスペイン語圏であり、英語はある程度わかるもののスペイン語は全く分からないのでポケトークで翻訳するという人もおり、英語圏以外で生活をしている人のポケトーク利用率はかなり高いのではないかと推定されます。
ポケトークが使いにくい場面
一見万能そうなポケトークですが、使いにくい場面もあります。
まず、ポケトークは前提条件としてインターネットの接続環境が必要であるということです。
3Gや4G回線にも対応していますが、赴任先で使うことができるとは限りません。
また、回線付きのものを契約しても「2年間」という条件が付いてくるため、2年が経過すると自前でWiFiルーターを購入するか、WiFi環境下においてしか使うことができないようになります。
海外で生活をしていると常にWiFi環境下にいることは難しく、日常生活の中ですぐに使うことを考えるとポケトークは便利であるものの、すごく使い勝手が良いかと言われるとそうでもないことが多いです。
駐在におけるポケトークの使い方
駐在妻として私の周りにいる人のポケトーク利用率を見ていると、赴任した直後はかなりの利用率を誇っていますが、ある程度駐在生活が落ち着いてくるとポケトークを常時持ち歩いている人は少なくなり、特別な時に持ち出す人が多い印象です。
特によく使われているなと感じるのは事務的な手続きをする場面です。
例えば、ビザの更新で移民局に行って申請をしなければいけないときや子どもの入学説明会など、言葉が難しくて理解するのが困難なケース、録音機能があるので、記録として録音しておきたい時などに利用している人が多いです。
駐在妻は常に現地の言葉の中で生活をしています。
生活をしているときは短いフレーズで言うことが多く、そのようなフレーズはしばらく生活をしていれば覚えてしまいます。
わざわざポケトークを利用して翻訳するほうが手間もかかりますし、時間もかかります。
短いフレーズであれば半年ぐらい生活をしていれば、特段英会話などを学んでいなくても自然と身についてくるので、ポケトークの利用率は下がってきます。
結果的に駐在妻の多くは、最初のうちはポケトークを頻繁に利用し、常に持ち歩いているものの、時間がたってくると持ち歩くこともしなくなってくるのが実態です。
ポケトークは補助として
ここまでの話としてポケトークは駐在生活で「役に立たないのか?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
十分に役目は果たしてくれますが、ある程度経ってくると人はポケトークの能力を越えていきます。
そのため、最終的にはポケトークは「重要なところでワンポイント的に投入する補助的な役割」をしてくれるイメージです。
細かいニュアンスが伝わりにくい
ポケトークが悪いとは言いませんが、どうしても補助的な役割となってしまう要因として、細かいニュアンスや感情的な表現が伝わりにくいという点です。
喜びを表現するような言葉をポケトークで話してもらうことはできますが、表情や声のトーンが生声に比べるとどうしても機械的であり、相手に対して気持ちが伝わりにくいです。
どんなに翻訳が上手だとしても、どうしても機械を向けて相手に伝えるというのは、細かい気持ちの部分まで伝えることができません。
感情や気持ちを伝える言葉は、英語だけでなく他の言語でもそんなに長いフレーズではありません。
このような言葉はできるだけ翻訳機を通すのではなく、自分の声で伝えたほうが相手に対しても気持ちが伝わります。
上手に文章として話そうとするとポケトークの方がよいかもしれませんが、短い言葉の場合は単語を伝えるだけでも十分に伝わるので、少し言葉のスキルを身に付けて、自分の言葉で話せるとよいと思います。
簡単な言葉はできるだけ自分でしゃべったほうが早い
ポケトークが補助的な役目になってしまう2つ目の理由は、簡単な言葉なら翻訳するよりも自分で話したほうが早いという点です。
駐在したての頃は、短い言葉も分からずスーパーで店員さんが料金の合計額を示した数字でさえ聞き取ることが困難なケースもあります。
日常生活の何気ない会話も聞き取ることができないことも多く、ポケトークがあったことで本当に助かったと思う場面が多々あります。
しかし、半年もしてくると自分の能力も生活に慣れてきます。言葉を話すことは難しくてもなんとなく聞き取ることができるようになってきますし、買い物をしたときの金額はレジの数字を見れば分かります。
地下鉄に乗ることやタクシーを利用することも、知っている単語をつなぎ合わせれば何とかなってきます。
これぐらいの言語力になるためには早い人で3か月程度、遅い人でも6か月程度あれば、特段の勉強をしなくてもなんとかなってきます。
駐在妻は日常生活の中で言葉を使うことが多く、旦那さんの仕事内容によっては旦那さんよりも早く言葉を習得することができる人も多いです。
ある程度話すことができるようになってくると、ポケトークをわざわざ出して話をするのも手間となり、結果的にポケトークが補助的な役割になってしまうことがあります。
文化ごとの言葉の違いが翻訳されにくい
ポケトークは、翻訳機として便利である一方、地域独特の言い回しには対応していない部分があります。
「Singlish」「Australian English」という言葉があるように、英語という共通言語を使っているにも関わらず、言葉の進化の過程で、その地域の言い方に合わせて進化しています。
「Singlish」はシンガポールで話されている英語、「Australian English」はオーストラリアやニュージーランドで話されている英語を示します。
それぞれの地域で進化したため発音が若干変わっていることが多く、オーストラリアの場合「August(8月)」が「オーガスト」という発音よりも「アーガスト」に近い発音の仕方をします。これは「訛り」とも言えますが、訛りが強いと翻訳できないことがあります。
同じことが他の言語でも言えます。メキシコでは、別れ際に「またね」という意味で「Hasta Luego」という表現をしますが、中南米の他の地域では「Chao」という表現が一般的です。ポケトークでは「Chao」と表現するので、そのまま使うとメキシコ人は「?」というリアクションをします。
このようにそれぞれの地域の言い回しや訛りに対応しにくいのがポケトークの欠点でもあります。
状況によってはポケトークの強みも
簡単な日常会話であればポケトークは必要ないかもしれませんが、ポケトークの能力はとても高いです。駐在妻の間でもその能力の高さを認めている人がたくさんいます。
実際に助かった事例としては、「空港で飛行機が遅れ、その振替便の手配をするのにポケトークを利用して説明した」や「入学説明会の話を録音し、必要なものや経費について理解できた」などある程度長い文書、さらに普段使わないような単語を入れなければいけないときにはポケトークは強い味方になります。
そのため、購入費用はかかりますが、お守りとして安心感を買いたいという人にはおすすめです。
オンラインで英語を学ぶ
駐在をしていればある程度の言語力は自然と身についていきますが、語学スキルを加速度的に早めていくためには勉強することが大切です。
駐在であっても家庭教師をつけてもらって学ぶ方法やオンライン英会話に参加する方法などがあります。
特にオンライン英会話は、海外に赴任したばかりで知り合いがいない状況でもパソコンやスマートフォンがあれば勉強することができますし、日本でやっているオンライン英会話スクールに海外から参加をすることも可能です。
日本でやっている教室であれば、申し込みなどの手続きも日本語でできるので楽です。
駐在は学んだことをすぐに実践できる場があるので、日本で英会話に通うよりも飛躍的に力が伸びますし、自分自身も語学スキルの伸びを実感することができます。
まとめ
ここまでポケトークの有効性について解説しました。
ポケトークは非常に有能な機械ですが、短い会話であれば自分でしゃべったほうが早く、日常会話は短い言葉の繰り返しの方が多いです。
しかし、長い説明を理解する場、説明をしなければいけないケースもありますので、補助としてもっておき、自分の言葉とポケトークを使い分けていくのがポイントです。