旦那の海外赴任が決まるとやることがたくさんあります。
忘れてしまうと簡単に手続きをすることができないというケースもあるので「やることリスト」や「チェックリスト」を作って対応している人も多いです。
ここで紹介することを参考に1つ1つ、自分でチェックリストを作り、何度も確認しながら漏れがないように出発しましょう。
もくじ
夫が海外へ赴任!駐在妻のすべき手続きは何?3か月前までに
家族の出発に関する手続き
海外赴任をするときにまず必要になるのがパスポートとビザ(査証)です。現地で有効期限が切れてしまうと、その手続きを再度するのも面倒になります。
また、パスポートの残り期限が1年以下、または半年以下(国によって基準が異なる)だと、入国することができないケースもあるので注意が必要です。パスポートは取得するまでに時間がかかりますし、ビザはパスポートの保有を条件としているところもあるので、まずはパスポートの申請が最優先になります。
パスポートが取得出来たら次は、ビザの手続きをします。ビザの手続きは「働く人」と「ついていく人」では種類が違うケースが多いので注意が必要です。ビザ取得の流れとして多いのが
・「日本でビザ申請」→「日本にある大使館でビザ取得」→「出国」
という流れになります。しかし、私が体験したのはこの流れではなく
・「日本でビザ申請」→「出国し、観光ビザで入国」→「到着後に観光ビザから滞在ビザへ切り替え」という流れでした。
多くの国では、入国に際して「〇〇日以内の滞在であればビザ不要」としているところが多いですが、駐在となるとこの期間内に帰国することができないケースが多く、「長期滞在ビザ」というものが必要になります。取得方法が国によって異なるので、実際に現地に滞在している人と話をすることができればよいですが、できない場合には確認しながら手続きを進めます。
予防接種に関する手続き
パスポートやビザの取得と同じように早い段階から始めなければいけない作業が「予防接種」です。これは、3か月前からでは遅く、海外へ行くことが決まっているのであれば、半年以上前から計画を立てて手続きを開始したいものです。
予防接種をする目的は、単に病気から身を守るためのものではなく、ビザ取得の条件となっているケースがあるからです。国によっては入国する際に「予防接種証明書」の提示が求められ、そこに国ごとに定められている接種条件を満たしていない場合、ビザが発行されません。B型肝炎ウイルス予防接種、黄熱病予防接種、狂犬病予防接種など国ごとに必要な予防接種の証明内容が異なるので確認が必要です。
予防接種の手続きを早めに進める理由は2つあります。
- ①予防接種をすることができる場所が限られ接種に時間がかかる。
- ②予防接種は複数回打つ必要があり、その間に期間を空ける必要がある。
①のB型肝炎や狂犬病の予防接種は、どこの病院でもできるわけではありません。接種することができる医療機関は限られます。例えば、東京を例にすると以下の5つしかありません。
- 東京大学医科学研究所附属病院(東京都港区)
- 北里大学北里研究所病院(東京都港区)
- 東京都済生会中央病院(東京都港区)
- 東京都保健医療公社荏原病院(東京都大田区)
- 社会福祉法人聖ヨハネ会桜町病院(東京都小金井市)
1つの県に1つの接種病院があるわけでなく、居住している県によってはかなりの遠出をしないと接種できないケースもあります。黄熱病の予防接種となると東京(東京検疫所)には1つしかなく、接種場所と予約の手続きをしなければいけません。
②は、予防接種が1回で終わらないため、接種と接種の期間を空けなければいけません。
B型肝炎の予防接種を例にすると接種の回数は3回が基本です。しかも、2回目は1回目から1か月以上、3回目は1回目から3~4か月後が接種となります。つまり、これだけでも4カ月はかかることになります。
したがって行先の国が決まっていない段階も海外赴任になることが濃厚であれば、予防接種はやり始めても早すぎることはありません。特に小さい子どもがいる場合には、これらの予防接種の他に三種混合などその他の予防接種を同時にしていかなければいけません。
そこで我が家では、海外赴任が決まった段階で地元の通いなれたお医者さんに相談しました。すると、近隣で予防接種ができる場所の紹介、これから出発までの予防接種スケジュールを綿密に計画してくれました。一緒に打つことができる予防接種、必ず一定期間空けなければいけない予防接種などがあり、専門家に組んでもらえると安心できます。
家財に関する手続き
家財の手続きも重要です。家財の手続きで一番面倒なものが住居です。賃貸物件であれば返却をするだけで済みますが、持ち家の場合、海外に出ている期間どうするのか決めなければいけません。持ち家で海外に出ても固定資産税は発生するため、支払いをしなければいけません。
誰かに貸し出す場合には、貸し出しの手続きも必要になります。名義変更などまで含めるとかなり時間がかかるので住居に関係する手続きは早めに始めなければいけません。
2つ目に、個人保有の家具や家電製品などの対処です。こちらは持ち家の人は自分の家で保管しておけば良いかもしれませんが、賃貸の人が困るものです。ただし、持ち家であっても数年後にしか使わないことを意識して保管しなければいけません。例えば、どうするか困るものの1つが自家用車です。保有していれば毎年税金が発生します。さらに乗らなければ悪くなっていくものです。
そこで多くの海外赴任者は赴任前に売却し、帰国後に購入し直しています。一時帰国などにおいて日本で車が必要になったときはレンタカーやリースを利用してしのいでいます。赴任時に持っていくことができないようなものに関しては、実家で保管しておく、トランクルームを借りて保管している人もいます。
他には安い賃貸物件を探してきて、そこで荷物類を保管している人もいます。船便を利用して海外に荷物を発送するのであれば1月程度前から荷物の仕分けをしていく必要があるので、保管場所を確保するのであれば3か月程度前から探し始めておく必要があります。
引っ越しに関する手続き
家財の処分と同時に進めなければいけない手続きが引っ越しの手続きです。海外に赴任する場合、荷物は大きく3つに行き先が分かれます。
- ①船便で持っていく
- ②航空便で持っていく
- ③自宅または保管できる場所に置く
①の船便は行先にもよりますが1か月から2か月程度到着までかかります。②は自分が赴任する飛行機に乗せるので到着と同時に使えますが、大きさと重量に制限があり、超過分は追加で支払いをする必要があります。
重要なのが①と②の振り分けで、持っていく荷物を分けながら手続きしなければいけません。船便の場合、日本から北米大陸だと1か月から2か月かかります。だからといって2月の初めに出したら4月の頭に届くかというと、そうではありません。
船便の場合、日本を出発し、北米までは1か月程度で到着します。しかし、ここで通関作業があります。通関する際には、本人たちがアメリカであればアメリカに入国し、ビザの取得、居住地の確定などの作業が全て終わってから、通関作業がスタートします。しかも、通関場所に長く荷物が残っている場合には、保管料という名目で余計にお金も発生します。
したがって早く日本を出す手続きをすればよいかというとそうではなく、現地に到着するタイミングと日本の荷物を出すタイミングを計って発送させる必要があります。このあたりは、海外の引っ越しに慣れた業者を利用し、相談しながら進めていきます。
荷物の発送タイミングが早いと出発の1か月以上前に出さないと届かなくなるので、赴任が決まった段階で、海外引っ越しを依頼する業者に自宅に来てもらい、持っていく荷物の量、引っ越し代金の見積もりを早めにとることをおすすめします。
金融関係に関する手続き
手続きの中で意外と面倒だったのが金融関係の手続きです。金融関係の手続きとは、クレジットカード、水道などの契約に関する手続きです。面倒な理由は駐在妻だけでなく、旦那さんまで一緒になってやらないと進まない手続きが多い点です。
また、海外の居住地が決まっていない段階で住所変更をすることができないという人は、日本国内にある実家などの住所を登録すればよいです。家庭で、契約をするときに世帯主である旦那さんばかりの名前を使っていると、いざ解約をするとなったときにも旦那さんでないと解約が変更できないというケースが多いです。
仕事に関する手続き(退職する場合)
ここまでたくさん手続きを述べてきましたが、駐在妻が仕事を辞めて駐在する場合には、重要な手続きがあります。まずは、「雇用保険の受給期間延長」です。雇用保険の受給資格を有している人は、海外赴任の帯同であれば、受給期間の延長申請が可能です。
ハローワークに出向き、離職票や海外赴任を証明する書類を提出します。この手続きをすることによって、雇用保険の受給を伸ばすことができるだけでなく、帰国後に様々な求人サポートをハローワークで受けることができます。
また、退職をすれば、社会保険も変わる人が多くなるのではないでしょうか。健康保険に関しては旦那さんの被保険者になる手続きを取り、厚生年金は、国民年金に変更となります。主に旦那さん側を通して手続きをしていくことになりますが、早めに準備しておきましょう。
夫が海外へ赴任!駐在妻のすべき手続きは何?1か月前までに
赴任まで1か月を切ってきたらどんなことをすればよいのか、まとめていきます。
現地生活に関する手続き
赴任まで1か月を切ってくると準備もあわただしくなってきます。まず、やっておきたいのが現地の生活に関する手続きです。これは、行先の国によって準備物が変わりますので、できれば現地にいる人と直接話やメールなどができるとイメージしやすくなります。
運転免許証
現地で車の運転をしなければいけないのであれば、運転免許証が必要になります。国際免許が使える国であれば、日本国内にある運転免許試験場で手続きをする。そうでない場合は、現地に行ってから取得することになるので、日本の免許を忘れずに持参しましょう。
クレジットカード
海外生活をするのであればクレジットカードは必須ですが、カードブランドによって使える国と使えない国があります。VISA、Masterは世界的に通用しますが、JCBは使えないところが多いです。
また、AMEX、ダイナース、ゴールドカードと呼ばれる上位カードは、保有しているだけで信頼度が増します。高額の商品購入やレンタカーを借りるときには上位カードでなければ断られることもあるので、可能であれば1枚持っておくと便利です。
銀行
銀行口座は、日本にいなくても保有しておくことができます。ただし、日本にいるときのようにATMに行って振り込みといったことはできません。
そこで、オンラインで送金したり、口座残高の確認ができたりするように準備しておくと便利です。これで、海外の口座の現金がなくなっても日本から送金しやすくなります。
保険・ローンに関する手続き
次に進めておきたいのが保険関係の手続きです。意外と保険関係の手続きは忘れる人が多く、赴任後に急遽電話したということもよく聞く話です。基本的には保険もローンも海外赴任になったからと言って特別なことはしません。ローンに関しては、海外に赴任しても払い続ける必要がありますが、どうしても日本の口座が利用できない場合などは要相談になります。
ローンの場合、何もせずに行ってしまうと銀行側に不信感を持たれるため、現地の連絡先、日本国内での連絡先が誰になるのかを伝えておきます。
保険関係では、解約の手続き忘れがよくあります。住宅の引っ越しをしたのに火災保険に加入したままや自動車を処分したのに保険は解約していなかったなどのケースがあります。また、自動車保険に関しては帰国後に車を購入する予定の場合、現在保有している等級を引き継ぐ手続きができるところもあります。出発直前でなくても、ある程度事前に手続きを進めることができるものもあります。
医療関係の準備と手続き
海外にも薬局はありますが、日本と成分が違ったり、高かったりするため日本で購入していくのが無難です。また、持病を持っている人は、病気に対応できる準備も進めておきます。
小さい子供がいるケース
小さな子どもがいる場合には、前述した予防接種などやることが既にありますが、もう1つ用意しておくとよいのが英語の母子手帳です。母子手帳は日本語で書かれており、そのままだと医療機関で翻訳をしなければいけません。それぞれの言葉に翻訳された母子手帳の入手方法は各自治体の保健所で知ることができます。
通常英語のものはありますが、言語によってはないものもあります。赴任前の健康診断までに用意しておき、必要なことは英語で書き込んでもらうと現地に行って、医療機関を受診する際に役立ちます。
持病がある、アレルギーがある
どちらも最悪、命に関わることになります。持病やアレルギーがある場合には、事前にかかりつけ医で、症状を英訳した診断書を作成してもらい持っておくとよいです。
また、薬に関しても日本で処方してもらうことができる分だけは持っていき、残りは英語の処方箋があれば海外の薬局で手に入れることができるケースもあります。英語版の説明できるものは用意しておきましょう。
夫が海外へ赴任!駐在妻のすべき手続きは何?一週間前までに
いよいよ出発まで残り一週間、この期間で行わなければいけないことは何でしょうか。この時点になると日本でできることはやり、残りは現地に行ってからインターネットを使って行うか、日本の残っている人に手続きをしてもらうかになります。
逆にいれば、対面で本人じゃなければできないことを最優先に行います。
引っ越し、荷物移動の手続き
一週間前になると航空便に関しても、空港まで荷物を送る手続きを行います。こちらも早すぎると空港での荷物保険手数料が発生するので、引っ越し業者と相談して、荷物を引き取りに来てもらえるよう打ち合わせをします。
また、搭乗する飛行機の航空会社、便名が分かっていれば空港のチェックインカウンターまで配送してもらうこともできます。自分たちも荷物がたくさんあることを考慮して手続きしましょう。運送会社によっては、この段階で、荷物の税関申告書などをもらうこともできます。申告書は通常機内で書きますが、事前に書いておけば楽です。
次に賃貸に住んでいる人は住宅を明け渡す手続き、清掃の手続きなどを進めていきます。海外赴任する際の賃貸物件手続きで気を付けなければいけないのが、引っ越し後の確認ができないという点です。
清掃業者との手続きを早めに進め、場合によっては大家さんに入ってもらい、修繕する場所、清掃する場所をはっきりと決めます。日本で確認できる人がいる場合には清掃後の確認を依頼すると安心です。
固定契約(インターネット、スマートフォンなど)の契約・解約手続き
残りの日本生活が一週間を切ったら、固定契約の解約、延長手続きも開始します。
固定契約は電気、ガス、水道、固定電話などで、最近はスマートフォンの契約もここに入ります。持ち家の場合、この手続きも非常に大変ですが、すべて解約の手続きをすればよいというわけではありません。その理由は違約金にあります。
固定電話などを解約する場合、違約金が発生する可能性があります。実は違約金を払うよりも名義人を親族に変えて、休眠状態、または一番安いプランにしてそのまま契約しっぱなしにしておくほうが安いケースもあります。
スマートフォンの場合、解約をしてしまうと違約金が発生する上に再契約するときには電話番号が変更となります。電話番号が変更になると帰国したときに、連絡先をお知らせするのが面倒です。
また、一時帰国などで日本に帰ってきたときに携帯電話を利用することができないデメリットがあります。休眠状態にすると大手キャリアの場合、月に500円程度必要になりますが、電話番号とメールアドレスをそのまま残しておくことができます。(無期限ではなく各社で期限あり)スマートフォンの解約をする際に、違約金を支払うぐらいであれば、休眠状態にしておいたほうが帰国時に便利というケースも多いです。
海外では、同じスマートフォンのSIMを入れ替えれば利用することができます。固定契約を解約するときには、違約金を支払うリスクと休眠にしておくメリットの2つを比較して考えましょう。
住民票の除票と海外転居届
出発の14日前からできる手続きが、住民票の除票と海外転居届の提出です。基本的に海外に1年以上滞在する可能性がある際には、住民票を除票して海外転居届を出します。この手続きをすることで
- 住民税の支払いが免除となる(翌年の6月以降から)
- 在外選挙登録ができる
節税対策にもなるので、必ずやってから出発したい手続きですが、1つ注意点があります。
それは、住民票を除票してしまうとその後、住民票や印鑑証明といったものを取得することができなくなります。出発後に住民票や印鑑証明が必要になる可能性がある場合には事前に取得しておきましょう。
また、帰国する際にも住民票がないので、新車の契約(印鑑証明が必要)などは住民票を登録するまでできません。公立学校に通う場合も、学校に事前に入学予定者として登録されていないので、3月末などに帰国する場合には、事前に入学予定校に連絡をしておくと入学手続きがスムーズに進みます。
なお、在外選挙の登録は赴任した国の大使館を通して行います。日本から海外への転居届が提出されており、大使館での手続きが完了すると「在外選挙人名簿登録書」というものが交付され、在外の大使館から日本の選挙に参加することができます。
書類などの転送手続き
最後に忘れないようにしたいのが書類などの転送手続きです。郵便物や遅れてくる請求書などを日本の住所(実家や親族宅)に転送してもらうように手配します。海外への転居は国内の転居届を出した時のように自動的に転送されるわけではないので注意が必要です。
やっておきたいオンライン化の手続き
海外赴任の手続きの際にできれば行っておきたいのが「オンライン化」です。IT化が進み、最近では請求書やダイレクトメールが郵便ではなく電子メールやオンラインで確認できるようになりました。
駐在妻として旦那を支えていくのであれば、オンラインで様々な管理ができるようにしておくと便利です。銀行口座の残高確認、送金などはパソコンやスマホがあればできる時代です。
ただし、オンライン化の手続きをする際には、日本の住所や電話番号、ものによっては住民票などの公的な証明が必要になるケースもあります。住民票を除票してしまうとこれらの手続きをすることができなくなりますし、赴任後に日本に書類を届けてもらってもその先の手続きを進めることが難しくなります。オンライン化の手続きは海外への赴任が決まった直後ぐらいから準備していくのが無難です。
まとめ
ここまで駐在妻が日本を出発するまでに行う手続き関係をまとめました。
重要なことは「リスト化すること」「早めに準備を始めること」です。リストにすれば漏らすことはないですし、途中で付け加えや削除も簡単にできます。早めの準備は何事においても大切で、心にゆとりを生むことにもなります。
ただ、準備や手続きに関しては行先によってかなり変わります。実際に行ったことがある、赴任している人の話はとても参考になるので、多方面から情報を収集しましょう。