海外赴任をする場合、多くの国で必要になってくるものがVISA(査証)です。
海外に行ったことがある人は、そんなものを取得した覚えがないという人も多いと思いますが、VISA(査証)が入国に必要になるのは「90日以上の滞在」または「30日以上の滞在」などの条件が付いているため、今では海外旅行でVISAを取得しなければいけない国の方が少ないです。
そして、問題になるのがVISA(査証)の取得方法です。中長期に渡って滞在をする、または現地で就労をするためのビザは、審査の基準が厳しく、大使館や領事館で行われる面接に合格する必要があるケースもあります。
大使館や領事館は関東や関西にしかないケースもあり、ビザの面接だけでも1日がかりになる可能性が高いことを覚えておきましょう。
ここでは筆者が経験したアメリカのビザ取得時に受けた面接について解説します。
もくじ
面接までの流れ
はじめにビザを取得するための面接にのぞむ前の準備について説明します。筆者は旦那が就労ビザ(L-1)を取得し、筆者と子どもたちは同行家族ビザ(L-2)を取得しました。
旦那の取得するビザの種類によって家族のビザも変わりますので注意してください。
準備しなければいけない書類
L-2ビザを取得するためには、まず旦那がL-1のビザを申請するところから始まります。
ビザの申請を個人で行うことはほとんどなく、会社を通して行うことになるので、求められた書類を書いて提出すれば問題ありません。
提出する書類は、L-1を申請することになる旦那はとても多く、大学の卒業証明まで必要でした。一方で、L-2ビザを取得する人はまずパスポートを取得し、次に「申請書」を提出するだけです。提出も個人で行うのではなく、全て旦那の会社を通して行いました。
これはL-1ビザとL-2ビザがセットになっていることが関係しています。私たちも家族で東京まで行く必要があり、そのとき小学校に通っていた長女は学校を休ませる必要がありました。ビザの申請が通ると旅行社を通してビザの面接日が決まったと連絡があったので、その日に向けて新幹線などを手配しました。
最近では、申請サイトから自分でビザの申請もできるようになっています。
サイトから申請し、必要なお金を支払うと面接予約を取るための番号が発行されます。あとは、希望する面接会場(都市)の空いている時間をウェブサイトから見つけて予約します。
面接を受けるための用意
面接の予約をする前に注意しておかなければいけないことを紹介します。
日程調整は大丈夫か
滞在ビザの場合、ESTA(電子渡航認証システム)のように簡単に申請発行できるものではありません。
書類から申請まで業者が行う場合には心配ありませんが、自分で行う場合、申請書類の準備が面接日に間に合うか確認しましょう。
もし、面接日に間に合わなかった場合には日程の変更が可能です。また、渡航ぎりぎりの申請も問題です。
ビザは許可が下りてから発行されるまで1〜2週間かかります。審査に落ちると再度面接があるため1か月以上かかります。少なくとも2か月前には完了したいです。
面接場所の確認
アメリカの場合、全国に5か所(東京・札幌・大阪・福岡・那覇)に面接をすることができる場所があります。
近いところで予約ができればよいですが、空いていない場合は他の地域に行くのも1つの方法です。
荷物の確認
面接に大使館や領事館に行く場合、入り口でセキュリティーチェックを受けることになります。(アメリカだけでなく他の国でも検査あり)そのため、持ち込むことができるものに制限があります。
私が受けた面接会場(東京)では、スーツケースは持ち込み不可、一人一台のスマートフォンや携帯電話以外の電子機器(タブレットやノートパソコン)も持ち込み不可でした。
ホテルを利用する人はホテルに預かってもらうか、コインロッカーを使うことになるので事前に調べておきましょう。
面接での注意点と乗り切り方
では、面接の注意点と乗り切り方について紹介します。
面接は基本的に英語で行われます。ただし、英語が話せないことを示すと日本語で対応してくれる審査官もいますが、全員ではないので注意が必要です。
服装で気をつけること
面接を受けるときに気になるのが服装ではないでしょうか。
筆者はカジュアルスーツのようなものを着ていきましたが、実際にはここまでかしこまったものでなくても十分です。
面接に来ていた人を見ていると、さすがに短パンとTシャツという組み合わせは見ませんでしたが、綿パンにポロシャツのような組み合わせはありました。
やってはいけないこととして思想的なものが記載された服装はNGです。
例えば、反社会勢力をイメージするような言葉や特定の政治、宗教を支持するようなものです。(日本語表記、英語表記問わず)
また、アメリカと敵対する国のマークが入ったものもよくありません。面接は、入国審査に近いものがあるので、見た目で印象を悪くするようなことは控えましょう。
予約の時間は厳守余裕を持って
2つ目は「時間」です。これは、私たちが面接をする際に手配してくれた会社の人から「絶対に10分前に到着するように」と厳命されました。時間に比較的ルーズな外国の文化はここでは通じないようです。
少し早めについて近くで待つぐらいの余裕があるとよいです。
大使館や領事館の面接は、分単位で詰まっており、遅れてしまうと再度予約の取り直しからスタートすることになるので注意しましょう。
最低限覚えておきたいこと
次に気になる質問の内容ですが、「本人確認」と「アメリカでの生活」という2つに大きく分類されます。
「本人確認」の部分では
- 旦那の名前
- 旦那の会社の名前と社長または責任者の名前
- どのような業界の会社なのか
- 旦那と結婚して何年になるのか。
このように主ビザである旦那に関連する質問がいくつかありました。
本当に主ビザである旦那ときちんとした関係性があるのかを確認しているような感じでした。
そのため、旦那の会社のことは少し勉強しておくと良いかもしれません。
2つ目の「アメリカでの生活」に関しては
- どの街に住むのか
- どのくらい住む予定であるのか
- 現地で働く気持ちはあるのか
このようなことを質問されました。この質問もそんなに難しくはないので赴任に関しての情報をきちんと旦那と共有していれば問題ないです。
筆者が赴任したころはL-2ビザで就労が認められていなかったため「就労するか?」という質問に関しては必ず「No」と答えなさいと教えられていましたが、現在ではビザの要件が緩和されて就労が可能となっているので就労に関する質問は出ないかもしれません。
基本は英語だが通訳をつけることも可能
ビザの面接言語は基本的に英語です。
早すぎて聞き取れない場合には「ゆっくり話して下さい」や「もう1回お願いします」と言えば答えてくれます。
どうしても、英語がダメな人は自分で通訳を依頼すれば、付けてもらうこともできます。
筆者の場合、ビザの面接を受ける頃に英会話スクールに通って勉強をしていました。
そのため、多少の英会話をすることができたのと、事前にスクールの先生のアドバイスで模擬面接みたいな練習をしました。
スクールやコーチングで英会話の指導を受けている人は、ビザの面接があることを話して練習するのも良い方法です。一度練習をすると雰囲気に慣れることができます。
対策コースまで大げさなことをしなくても良いですが、想定される質問と答えを事前に準備し、当日紙に書いていって答えても問題ないと言われました。
わからないことはわからないで大丈夫嘘はだめ
最後に面接の回答をするときですが「嘘は絶対にダメ」です。
特に自分をよく見せようとして虚偽の答えをしたり、申請書に書いていないようなことを言ったりすると突っ込みを受けることになります。
ビザの申請において、相手が一番知りたいのは「不法滞在」や「違法労働」を考えていないかです。
日本のパスポートは海外で強いですが、不法滞在をしないのか疑ってきます。
筆者の周りで、面接でトラブルになった事例として、結婚をしていない夫婦が赴任直前に結婚をすることになっていたのですが、この部分が審査で引っかかり不許可となりました。
最終的には、婚姻届けを先に出して、婚姻したことを証明する書類を提出してビザの発行ができたのですが、家族ビザで帯同する場合には「偽装結婚」や「一時結婚(ビザ発給のために結婚し、向こうで別れる)」が疑われます。
質問されても適当に答えるのではなく、分からないことは分からないと言い、無理であれば日本語に翻訳してほしいと依頼すると対応してくれます。適当な回答をしないように気を付けましょう。
まとめ
ここまでアメリカの家族ビザ取得時の面接対策について解説しました。
1つ注意してほしいのは、この情報は2022年9月現在の情報を元に書いています。
ビザの面接に関しては世界の情勢、特にアメリカの情勢によって大きく変化します。
常に最新の情報を確認してください。
また、面接に関しては、基本的なことを答えることができるように、事前に回答を作っておくとよいです。
旦那の会社名や行先と言った最低限の情報も知っておきましょう。
嘘をつくと、ばれた時に「申請却下」になってしまう恐れがあります。正直に話すことが大切です。