【インタビュー】平塚悠也コーチ「英語学習のポイントは目的の明確化と習慣化」

自己紹介と英語コーチングを始めようと思った経緯を教えてください

私は大学2年生の時、アメリカに交換留学に行き、マーケティングについて学びました。7ヵ月の留学経験後も英語がペラペラにはならず、日本で独学でスピーキングを身につけた経験があります。大学4年生で、自分が英語を習得した過程を、より多くの学習者に広めたいと思うようになりました。

英語の指導経験としては、オンライン英会話スクールの「ネイティブキャンプ」で指導したことがあります。また、英検対策講座でライティングの指導をしていました。現在は、YouTubeで英語の勉強法を扱ったチャンネルを開設しています。

私が数ある英語学習法の中で、英語コーチングに着目した理由は2つあります。

1つ目は、私が、全く英語を話せない状態からネイティブレベルまで英語を身につけた経験があるからです。この経験が、英語コーチとして学習者の役に立つのではないかと思いました。

2つ目の理由は、私が人のモチベーションを刺激したり、やる気を奮い立たせたりすることが得意だからです。コーチングでは、単に英語を教えるだけでなく、それぞれの学習者に寄り添って、一緒にモチベーションを維持する必要があります。

この2つの理由から、英語コーチングは自分の特性を生かせる英語教授法ではないかと思いました。

平塚悠也コーチの英語コーチングの概要について教えてください

私のコーチングでは、2つのコースを用意しています。

1つ目は、スピーキングに特化したコースで、2つ目はネイティブの英語が聞き取れるよう、リスニングに特化したコースです。

どちらもプログラムの構成はほぼ同じで、7つのステップから成り立っています。

第1〜第3ステップは、初回のカウンセリングで行うものです。

第1ステップでは、受講生の現状を把握します。受講生に、これまで受験した英語のテストの結果や、英語に対する自信の度合いなどについてアンケートを取ります。そして、私と受講生自身で、主観的・客観的に現状を把握していくステップです。

第2ステップでは、受講生の目標設定を行います。その受講生が英語を勉強する目的は何なのかについて、徹底的に分析します。私の経験上、「なぜ英語を勉強したいのか」という目的を、学習者自身がしっかり把握しないと、その後の英語学習は続きません。そのため、第2ステップでは、「なぜ勉強するのか」、そして、「どういった自分になりたいか」という理想像（誰と、いつ、どこで英語を話せるようになりたいのか）を明確化します。

第3ステップでは、受講生の目標を踏まえて、どのような英語学習法がその受講生に適しているのか、私の経験やリサーチをもとに選定していきます。例えば、スピーキングに特化したコースでは、独り言英会話やオンライン英会話、英語日記、シャドーイングなどが効果的です。それらの学習法の中からそれぞれの受講生に適した学習法を選定し、その学習方法についてきちんと説明します。それに加えて、最初のカウンセリングでは、1分間英語で自己紹介をしてもらったり、興味のあるトピックについて2〜3分スピーチをしてもらい、その様子を撮影しておきます。

第4のステップは、第1ステップで把握した現在の英語力、第2ステップで決めた目標、第3ステップで決めた戦略をもとにスケジュールを作ります。

第5ステップと第6ステップは、日々の学習と定期セッションです。

第5ステップでは、受講生が主体となって、毎日最低2時間学習する時間を確保するようお願いしています。私が第3ステップで提案した学習法を中心に自主学習をして、学習した内容を報告してもらいます。

第6ステップは、第5ステップと交互に行います。受講生と定期的なセッションの機会を設けて、受講生の現状や、設定した目標にどれだけ近づいているのかチェックするステップです。さらに、提案した学習方法が受講者に本当に合っているのか、他に良い学習法がないかについて検証を行います。

最後に、第7ステップは、自分の理想とする目標にどれだけ近づけたか測定するステップです。最初のカウンセリングで行ったものと同じようにスピーチをしてもらい、それぞれの動画を比較します。そして、どの点が向上したのか、どの点があまり向上していないのかを分析します。

学習期間は6か月です。セッションの回数は、1週間に1回行うコースから、最大4回行うコースを設ける予定です。

私のコーチングでは、自分を知ることによって、自分にあった英語学習をすることで、楽しく英語学習をすることを重要視しています。さらに実践的に使える英語力を磨くことを目的としています。TOEICやTOEFLの受験も、英語を学習する手段として利用するのはいいと思います。しかし最終的には、海外の方と英語で話したり、NETFLIXで字幕なしに洋画を視聴できる英語力を養成するのが目的です。

受講生はどのような方を対象としていますか？

私が対象としている受講生は、中学・高校レベルの文法と語彙を既に把握している人です。文法や語彙の知識が充分でも、発音に自信がない人や、英語がスラスラ話せないという人を対象としています。

また、私自身の留学経験を生かして、留学する直前の方で、英語力をさらに伸ばして留学に臨みたいという方や、留学から帰ってきたものの、英語力が思うように伸びなかった人という方もサポートしたいです。

そして、学生だけでなく、海外に駐在予定の社会人の方にもぜひ受講してほしいと思います。

コーチングの内容について教えてください。

最初のカウンセリングで目標設定をする際に、受講者の発言の意図を「3回」聞くのが私の英語コーチングの特徴です。

例えば、まず「なぜ英語を勉強したいか」という問いに、受講生が「英語がペラペラになりたいから」と答えたとしましょう。その場合、「なぜ英語がペラペラになりたいか」について尋ねることになります。それに対して、「英語をペラペラ話せるとかっこいいから」という答えが返ってきたら、「それでは、どんな人がかっこいいと思うのか」について深堀りします。

このように、「英語がペラペラになりたい」という願望を掘り下げていって、最終的なゴールを、より明確に、想像しやすく、受講生が納得できる形で設定するのが私の英語コーチングの特徴です。

日々のサポートとしては、LINEなどのチャット機能を用いて、添削やアドバイスをします。ただ、全ての質問に対応するのは難しいので、コースごとに質問回数に上限を設けて対応しております。

学習管理方法については、報告用のフォーマットを使って、朝にその日の目標を報告してもらいます。そしてその日の最後には、学習した内容とその日の反省、そして明日やることを記入してもらう予定です。シャドーイングなどを実際に行った動画や音声を送ってもらうこともできます。

実践的なスピーキングをメインとして扱っているので、市販の教材を使う予定はありません。私自身が作った動画などをベースに学習を進めていくつもりです。しかし、文法や語彙に不安を感じる受講生の場合は、『English Grammar in Use』や『一億人の英文法』という文法書や、『Distinction 2000』という単語帳を補助教材として使用することもあります。

ご自身の経験も踏まえて、英語学習で最も大切だと感じることは何ですか？

私が英語学習において大切だと思うのは、「どうして英語を話せるようになりたいのか」について、目的意識を明確にすることです。

目的意識を明確にすると、効率的な英語学習に必要な、3つの効果が期待できます。

1つ目の効果は、英語習得に欠かせない「学習の継続」です。例えば、「海外の方を相手にしたプレゼンテーションで良い結果を残したい」とか、「海外旅行に行って自分の視野を広げたい」などというように、分かりやすい目標を設定します。そして、その目標と照らし合わせて、目標達成のために英語がどのように役に立つのか、考えてみて下さい。すると、具体的なイメージを伴った目的意識を持つことで、英語を学習するモチベーションにつながり、学習を継続することができます。

2つ目の効果は、目的意識をしっかり持っていると、英語コーチングを受ける場合に、自分にとって効率の良い学習法を、英語コーチと一緒に検討しやすくなるということです。目的意識をはっきりさせることで、学習する目的を受講生とコーチが共有し、効率的な学習プランを組み立てることができます。例えば、海外の方の前でプレゼンテーションを成功させるのが目的なら、ビジネス英語を習得する必要がありますし、海外を旅して様々な情報を吸収したいなら、目的に合わせたトレーニングが必要になります。私自身が英語を習得した時には、「自分が良いパフォーマンスを発揮できた時」と、「自分が思うようなパフォーマンスを発揮できなかった時」を分析して、自分に最適な勉強法を導き出しました。自分で自己分析を行うのが難しいと感じる方や、選んだ学習法が自分に合っているかどうか不安な方は、ぜひ英語コーチに相談してみてください。

3つ目の効果は、目的意識を明確にすることで、自分と他人を比較しなくなるということです。私が英語学習を始めた当初は、自分と他人を比較してばかりいて、劣等感に陥り、その状態が、英語学習の妨げになっていました。しかし、人はそれぞれ違うバックグラウンドを持っており、英語の学習歴も全く違うということに、徐々に気づくようになりました。そこで、自分と他人の違いは気にせず、自分の目的意識に沿って、自分に必要な学習のみに集中することにしました。「昨日の自分より今日の自分が進歩している感覚」だけを頼りに学習を進めた結果、効率的に英語を習得することができたのです。

学習を継続するために、また効率的な学習方法を選ぶために、さらに自分と他人を比較して辛い思いをしないためにも、「目的意識を明確にすること」が何より重要だと思っています。

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