英語学習で避けては通れないのが暗記です。丸暗記か否かの議論はありますが、いずれにせよ単語や熟語、文法などあらゆることを暗記しなければ英語は習得できません。しかし人間は忘れる生き物です。一度暗記したことも時が経てば忘れてしまいます。せっかく暗記した英単語も、1週間後に再確認したら忘れてしまっていたということもあるのではないでしょうか?
しかし「エビングハウスの忘却曲線」を正しく理解すれば、一度暗記したことを忘れることなく英語学習を進められます。本記事で「エビングハウスの忘却曲線」についての理解を深め、効率的な英語学習を目指しましょう。
もくじ
エビングハウスの忘却曲線とは?
エビングハウスの忘却曲線とは、人間の記憶の忘却に関するメカニズムをグラフで表したものです。ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの名にちなんでこの名が付けられています。以下はエビングハウスの忘却曲線のグラフです。
(エビングハウスの忘却曲線で分かる、最適な復習のタイミングより引用)
グラフの縦軸は記憶保持率、横軸は時間を表しています。上記のエビングハウスの忘却曲線を見ると、記憶に関する様々なことが読み取れます。読み取れることを以下にまとめました。
- 人は20分後には42%忘れる
- 人は1時間後には56%忘れる
- 人は1日後には67%忘れる
- 人は1週間後には75%忘れる
- 人は1ヶ月後には79%忘れる
人は、一度記憶したことでも1ヶ月後には約8割を忘れてしまいます。英単語を100単語覚えても1ヶ月後には20単語しか覚えていないということです。しかしあることをするだけで、この記憶の忘却のペースを弱めたり、記憶の忘却を完全に防ぐことができます。それが復習です。
学んだことはすぐ復習するべき
人間の記憶には長期記憶と短期記憶の2種類があります。長期記憶とは、長期間(ほとんど一生)にわたって忘れることのない記憶です。一方短期記憶はその名の通り短期間で忘れてしまう記憶です。そして長期記憶か短期記憶かを判断するのが海馬です。簡単にいうと、脳の海馬が必要だと判断したことは長期記憶、そうでないものは短期記憶として脳内で振り分けられます。そして人間が覚えるほとんどの物事は、まずは短期記憶に分類されます。
最初から長期記憶に分類される主な例は、強い衝撃や感情を伴う記憶です。小さい頃怒られた記憶、危ない目にあった記憶は、大人になっても覚えているのではないでしょうか?こういった記憶は脳が「覚えるべき」と判断し、長期記憶に分類されます。英語学習に例えると、先生が何か面白い例え話やエピソードトークをしながら紹介した単語は記憶に残っているはずです。つまり暗記した物事を一度長期記憶に入れてしまえば、記憶の忘却に悩まされる心配はありません。
エビングハウスの忘却曲線では1ヶ月で約8割を忘れると示されています。残りの2割はその後どれだけ期間が経っても忘れることはありません。つまり英語を100問覚える場合、20単語程度は覚える際に何かと関連づけたり面白いイメージと結びつけて記憶できるということです。
しかし全ての英単語で関連づけや面白いイメージがあるわけではありませんよね。現に100単語中の80単語は1ヶ月後には忘れてしまう短期記憶として記憶されていたということです。この短期記憶を強引に長期記憶に入れてしまう方法、それが復習です。
最適な復習のタイミング
記憶を長期記憶にして記憶の忘却を防ぐためには、復習が必要です。何もしなければ記事冒頭で紹介したエビングハウスの忘却曲線のグラフのように時が経つにつれて記憶をどんどん忘れていきます。しかし記憶を忘れる前、もしくは記憶を忘れた直後に復習を行うことにより、記憶の忘却を防ぐことができます。
しかしただ闇雲に復習すれば良いというわけではありません。もちろんとりあえず復習さえしておけば記憶の忘却を食い止めることはできます。しかし最適なタイミングで復習することにより、より効率的な復習ができます。以下は最適なタイミングで復習を行った場合の記憶保持率をグラフで表したものです。
(エビングハウスの忘却曲線で分かる、最適な復習のタイミングより引用)
エビングハウスの忘却曲線と同じく、グラフの縦軸は記憶保持率、横軸は時間を表しています。そして黒線がエビングハウスの忘却曲線、黄色線が最適なタイミングで復習を挟んだ場合の記憶保持率です。
上記のグラフでは、学習初日から
- 1日後
- 1週間後
- 1ヶ月後
に復習を挟んでいます。
この
- 1日後
- 1週間後
- 1ヶ月後
が最適な復習のタイミングです。つまり1ヶ月間で3回の復習が必要ということになります。学習初日も含めると、1ヶ月間で4回の学習が必要です。グラフをみても分かる通り、ちょうど記憶を忘れ始めたタイミングで復習を挟んでいます。忘れそうになるときに復習を繰り返して、3回目の復習を終えた1ヶ月後以降は、黄色線のグラフが下降する事はありません。3回復習すれば、脳が「何度も目にするという事は、忘れてはいけない大切な記憶に違いない」と錯覚し、長期記憶になります。
上記グラフでは1ヶ月後の黄色線が下降してグラフが終わっていますが、本来はグラフが下降する事はなく、3回目の復讐以降は平行線となります。また復習に要した時間にも着目してほしいです。復習に要した時間は、
- 1回目の復習で10分
- 2回目の復習で5分
- 3回目の復習で2〜4分
です。つまり
- 1日後
- 1週間後
- 1ヶ月後
上記の最適なタイミングで復習を行えば、合計でたったの19分間しか復習しなくても1ヶ月後には記憶を長期記憶として定着させることができる計算になります。
※もちろん記憶する量や難易度によって誤差はあります。
まとめ
せっかく時間や労力を割いて英語を学習しても、忘れてしまっては意味がありません。覚えて忘れて、また覚えてと繰り返すのは非効率です。エビングハウスの忘却曲線を理解して、記憶を忘却する前、もしくは記憶を忘却した直後に復習を挟むことで、記憶を長期記憶として定着させましょう。おさらいですが、復習は以下のタイミングで1ヶ月のうちに3回行いましょう。
- 1日後
- 1週間後
- 1ヶ月後
また復習時間は以下を参考にしてください。
- 1回目の復習で10分
- 2回目の復習で5分
- 3回目の復習で2〜4分
上記を参考にせずにただがむしゃらに復習しても、復習の回数をこなせば長期記憶として定着させる事は可能です。しかし本記事で解説したようなペースで復習を行う事で、復習に費やす労力を節約できます。本記事ではエビングハウスの忘却曲線に焦点を絞って、記憶の定着について解説しました。
しかし実は他にも記憶の定着に影響を与えることはあります。例えば学習時間帯やモチベーションなどです。特に仕事が忙しい社会人は、良い学習時間帯に学習したり、モチベーションを保つ事は難しいです。仕事終わりに学習する方が多いかと思いますが、疲労した状態での学習は最も非効率です。そんな忙しい社会人におすすめなのが、英語コーチングスクールです。
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