英語学習で注目されている「第二言語習得論」ですが、「研究結果のひとつである『4つのプロセス』とは、具体的にどんな内容なのか」「英語学習にどう活用していけばいいのか」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、
- 第二言語習得論の概要
- 第二言語習得論の4つのプロセス
- 英語学習で活用する方法
について解説します。
忙しい現代人にとって、英語を習得することは効率との勝負でもあります。「時間と費用をかけるのだから、コストパフォーマンス高く勉強したい」「短期間で高い学習効果をあげたい」という方は、ぜひ英語学習の効率化のために参考にしてください。
もくじ
第二言語習得論(SLA)とは
第二言語習得論について簡単に説明しておきます。第二言語習得論とは、人が母語以外(≒外国語)を身につける時に、「どのようなプロセスで習得していくのか」を研究する学問です。研究は、言語学・脳科学・心理学などが密接に関係しています。
近年、日本では第二言語習得論が英語コーチングスクールなどで積極的に活用され、「科学的根拠に基づく学習メソッド」として提供されています。「第二言語習得研究」自体はプロセスやメカニズムを解き明かしたもので、具体的な効率学習の方法を提唱するものではありません。研究データを応用させたものが、最新の学習方法として教育や学習の分野で利用されています。
【関連ページ】第二言語習得研究(SLA)とは?概要や学ぶメリットを紹介
第二言語習得論の4つのプロセス
第二言語習得研究では、多くの専門家が研究結果や理論を発表しています。その中でも有名なのが、Susan M. Gass(1997~2013)が提唱した認知モデルです。Gassは、第二言語を習得するにあたり「4つのプロセス」があると捉えました。
4つのプロセスとは、以下の通りです。
- 気づき(noticing)
- 理解(comprehension)
- 内在化(intake)
- 統合(integration)
ひとつずつ解説していきます。
プロセス1:気づき(noticing)
「見たもの」「聞いたもの」を頭に入れるためには、まずは気づきがなければいけません。例えば、カフェなどで無意識に聞いている洋楽のBGMは、英語の内容まで頭に入ってきませんよね。まずは意識的に見たり聞いたりすることで気づきが生まれます。また、気づきの段階で知覚されたものは、短期記憶に保持されます。
プロセス2:理解(comprehension)
理解のプロセスはさらに以下のように2段階に分けられます。
- 単語の意味を理解すること(浅い理解)
- 単語が文の構造でどう活用されるかという情報まで理解すること(深い理解)
英語のリスニングで、「単語の意味は大まかに分かるけれど、文全体の意味がつかめない」という経験はありませんか?これは、浅い理解はできているが、深い理解にまで至っていないということ。単語の意味だけでなく、文の中での構造を理解できていると、リスニングした時も仮説を立てながら意味を理解することができます。人間は新しい言葉に出会う度に「仮説生成」をして、言葉の意味を正しく理解するためトライ&エラーを繰り返していきます。そのため、学習者は「気づき」と「理解」の情報量を増やすことが、文章の意味を深く理解できることにつながっていきます。
プロセス3:内在化(intake)
内在化は、理解した内容を自分の「中間言語」へ落とし込むというステップです。中間言語とは、習得中の言語が母語のように使用できるようになるまでの、過程段階をいいます。中間言語を確立していくために、まだ理解できていない言葉と、もう理解できている言葉とを組み合わせて仮説を繰り返していきます。これを「仮説検証」といいます。内在化により、一部の文が聞こえなかった(見えなかった)場合でも、文の意味が推測できるようになります。
「Are yo h ppy ?」
→全てが見えていなくても、「Are you happy?」と推測できる。
プロセス4:統合(integration)
内在化された言語の知識が長期記憶に保持され、情報の出し入れが自動化されます。気づきの段階で短期記憶されたものは、最終的に統合(長期記憶化)されることによって、瞬間的にアウトプットできるようになっていきます。
4つのプロセスを英語学習に落とし込む方法
「4つのプロセス」から、効率的な学習方法は多様に生み出すことができます。
その中でも、特におすすめな方法は以下の3点です。
- 英語への意識を高める
- インプットの量を増やす
- 「仮説検証」できる程度の、適度な難易度の英文にふれる
英語への意識を高める
4つのプロセスの「気づき」を得るためには、日頃から英語への意識を高めることが必要です。ただ英語を聞き流すのではなく、「英語習得する」という目的のもと、意識的に聞いて短期記憶を増やしていきます。まずは、英語へのアンテナを高めることから始めてみましょう。
インプットの量を増やす
第二言語習得研究のデータから、英語業界では「インプットの量を確保することが大切」とよく言われています。また、「4つのプロセス」のモデルで考えても、「気づき」「理解」のためにはまずはインプットが必要になります。知識のデータベースが無ければ、「仮説検証」をすることはできません。学習時間を捻出して、とにかく多くの単語に触れるようにしましょう。インプット量を増やすには、シャドーイングや音読も役立ちます。「単語を読む」「文法を理する」だけでなく、「英語の音を理解する」ことで英語の情報量を増やすことにつながります。
適度な難易度の英文にふれる
全く理解できないような難易度の高い英語は、「仮説生成」や「仮説検証」に活用することができません。そのため、自分の英語レベルに合わせた英文を読むことが大切です。自分の理解できるレベルよりわずかに上の文にふれることで、4つのプロセスが進行します。反対に、難しすぎる英文のニュース記事や論文は、英語初級レベルの人は読む必要がないでしょう。
第二言語習得論を活かした英語コーチングスクール
日本で暮らす人にとって、第二言語習得といえば小学校から教育されている「英語」を思い浮かべるでしょう。しかし、教育課程を経てもなかなか英語を話せるようにならないのが現状です。そこで、英語を習得したい社会人のために、英語コーチングスクールでは第二言語取得論を活用した学習方法を提供しています。4つのプロセスを含め、第二言語習得論を活かしている英語コーチングスクールは、効率的で高い学習効果を期待できます。社会人に注目されているいるスクールは以下が挙げられます。
- プログリット(学習時間の捻出を得意とする英語コーチングサービス。本田圭佑氏や北島康介氏も受講する)
- イングリッシュカンパニー(時短学習を得意とする英語のパーソナルジム。運営は大学予備校で有名なスタディーハッカー)
- ストレイル(自分の現在地を把握して、学習の無駄を省くことを得意とする。イングリッシュカンパニーと同じ運営元だが、ストレイルの方が低価格)
【関連ページ】英語コーチングスクールのメリット・デメリットを解説|従来の学習方法より効果を実感しやすい
各スクールの概要をご紹介します。
プログリット(PROGRIT)の概要
『プログリット(PROGRIT)』は、2ヶ月間でビジネス英会話力を圧倒的に伸ばすことができる英語コーチングスクールです。筆者イチオシのスクールです!なんとサッカー界のレジェンド、本田圭佑氏もプログリットを受講しています。他の英語コーチングスクールとは異なり、英会話レッスンは一切行いません。その代わりに徹底して学習習慣と学習効率を鍛え上げます。英語習得には膨大なインプットが不可欠です。インプットができて初めてアウトプット(英会話)が可能になります。プログリットの英語コーチングで「学習時間×学習効率」の値を最大限に大きくします。
受講形式 | 通学・オンライン |
スクール所在地 | 関東8拠点:有楽町・神田・新宿・六本木・池袋・渋谷・赤坂見附・横浜 中部1拠点:名古屋 関西1拠点:阪急梅田・梅田 |
受講期間 | 2ヶ月~ |
入会金 | 55,000円(税込) |
料金 | 435,600円(税込)~ |
1ヶ月あたり | 180,584円(税込)~ |
講師 | 日本人バイリンガル・一部ネイティブ講師 |
返金の有無 | 30日間全額返金保証 |
給付の有無 | 一般給付金制度あり(最大10万円支給) |
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ENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)の概要
『ENGLISH COMPANY』は、科学的なトレーニングと英語学習のコンサルティング(コーチング)で、最短距離で目標達成を目指すための英語コーチングスクールです。ENGLISH COMPANYでは言語習得の科学「第二言語習得研究」の知見を活かしたトレーニングを行います。他英語コーチングスクールが独自に開発しているカリキュラムとは異なります。第二言語習得研究に沿ってあなたの課題を発見し、それに適した学習方法を選択するので、一切の無駄を省いて効率的な学習ができますよ。英語力全体の底上げというよりは、苦手分野(リスニングや発音など)をピンポイントで改善したいという方におすすめのスクールです。
受講形式 | 通学・オンライン |
スクール所在地 | オンライン スタジオ:新宿、銀座、神田、梅田、神戸、四条烏丸 |
受講期間 | 1週間・3ヶ月・6ヶ月 |
入会金 | 全コース共通:55,000円(税込) ENGLISH COMPANY MOBILEのぞく |
料金 | 220,000円(税込)~ |
1ヶ月あたり | 44,000円(税込)~ |
講師 | 日本人バイリンガル |
返金の有無 | コースによって30日返金保証あり |
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ストレイル(STRAIL)の概要
『ストレイル』は、英語コーチングスクールENGLISH COMPANYを運営しているスタディーハッカーが運営する英語のパーソナルジムです。ENGLISH COMPANYについては1つ前で紹介した通りです。学習方法については、ENGLISH COMPANYと同じく「第二言語習得研究」に基づいています。ENGLISH COMPANYとの違いは、グループレッスンを採用している点、自習中心の英語コンサルティングサービスを提供している点です。ENGLISH COMPANYの半分程度の月額で受講できます。期間も2ヶ月と短いので、第二言語習得研究に基づいて、短期間で集中して苦手を改善したい、成果を出したいという方におすすめです。
受講形式 | 通学 オンライン |
スクール所在地 | 関東3拠点:新宿、銀座、大宮 関西1拠点:北浜 |
受講期間 | 2ヶ月・3ヶ月・6ヶ月 |
入会金 | 5万円 |
料金 | 17万円(2ヶ月コース) 25.5万円(3ヶ月コース) 51万円(6ヶ月コース) |
1ヶ月あたり | 8.5万円(2ヶ月コースの場合) |
講師 | 日本人バイリンガル |
返金の有無 | なし |
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第二言語習得のメカニズムを意識しよう
英語の学習は、第二言語の習得プロセスを理解することで大きく効率化できます。今回の記事をまとめると以下の通りです。
- Gassの提唱した4つのプロセスは、「気づき」「理解」「内在化」「統合」
- まずは多くの情報をインプットすることが大切
第二言語のメカニズムを深く理解しているコーチと、効率よく英語力を磨きたい方は、英語コーチングスクールを活用してみてください。まずは無料相談や体験レッスンから始めることができます。「4つのプロセス」を意識して、英語学習に取り組んでいきましょう!
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