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第二言語習得研究から考える、シャドーイングがリスニングに最適な理由

第二言語習得研究から考える、シャドーイングがリスニングに最適な理由

英語リスニングの学習方法は多岐に渡ります。以下はリスニング学習方法の一例です。

  • 通常の問題演習
  • ディクテーション
  • シャドーイング
  • オーバーラピング

聞いたことがあったり試したことがある学習方法も多いのではないでしょうか?第二言語習得研究から考えると、数あるリスニング学習方法の中でもシャドーイングが最も効果的です。本記事では、シャドーイングがリスニング学習方法の中で最も効果的な理由をわかりやすく解説していきます。

リスニングの仕組み「音声知覚」と「意味理解」について

シャドーイングが最も効果的な理由を解説する前に、まずは「日本人がどのように英語を聞き取るのか?」の仕組みについて解説します。第二言語習得研究によると、我々日本人が英語を聞き取るには、2つのステップがあると言われています。

  1. 音声知覚
  2. 意味理解

音声知覚とは、聞こえてきた音がどんな音か認識することです。意味理解は、音声知覚で認識した音声から意味を理解することです。つまり我々がリスニングをする時には、音を聞いて意味を理解するという2つのステップが存在します。意味理解で音声の意味を理解するためには、自分の記憶にある単語や文法などの情報にアクセスし、照合する必要があります。つまりリスニング力を高めるためには、正しく音声を聞き取る力と、記憶の中から素早く情報を引き出す力が必要となります。また知らない単語は、聞き取れても意味がわからないので、単語や文法事項のインプットも大切です。

「音声知覚」と「意味理解」は脳内のメモリで競合している

人間の脳にはワーキングメモリと呼ばれる部分があります。ワーキングメモリはパソコンのCPUのようなもので、情報を処理する時に使用します。また、ワーキングメモリを使って情報を一時保管することも可能です。しかし一度にたくさんの情報を読み取りすぎてキャパを超えてしまうこともあります。例えば音声知覚に気を取られすぎたら、うまく意味理解をすることができません。

リスニング力を上げるためには、大きな労力を割かずとも音声知覚ができるようにしなければなりません。そうすることでワーキングメモリの大部分を意味理解に使うことができます。そこで最適な学習方法がシャドーイングです。

シャドーイングがリスニングに最適な理由

シャドーイングとは、聞こえた音声を、その音声の直後に復唱する学習方法です。リスニング対策に加えて、正しい発音や音読スピードが身につくと言われています。シャドーイングがリスニングに最適な理由は3つあります。

  • 音声知覚の自動化
  • 音声知識データベース検索の自動化
  • 音声知識データベースの更新

音声知覚の自動化

リスニングには2つのステップ「音声知覚」と「意味理解」があると解説しました。シャドーイングは音声を聞いて復唱する学習方法なので、音声知覚のみに特化した学習方法です。シャドーイングは、仮に単語の意味がわからなくても、聞こえた音を復唱すれば成立しますよね。

シャドーイングを繰り返すことで音声知覚能力が上がり、少ない労力で音声知覚ができるようになります。そうなれば、余ったワーキングメモリーを意味理解に費やすことができるようになり、リスニング力が向上します。

音声知識のデータベース検索の自動化

シャドーイングでは、聞こえた音声をすぐに復唱しなければなりません。すぐに復唱するためには、聞こえた音声と自分の頭のなかにある音声知識がイコールでなければいけません。そうでない場合、聞こえた音声は自分の頭の中にあるどの単語に近いのかを照合する必要があります。その場合、ワーキングメモリーに大きな負荷がかかってしまいます。シャドーイングで聞こえた音と自分の頭の中の音声知識との照合を何度も行うことで、音声の照合のスピードが上がります。いずれは音声知識のデータベース検索を完全自動化できるようになり、リスニング力が向上します。

音声知識データベースの更新

音声知識のデータベース検索が自動化されたということは、誤ったデータベースが正しいものへと更新されたということです。例えば”apple”という音声が、音声知識のデータベースでは「アップル」として記憶されていた場合、”apple”「アッポー」を正しく聞き取ることはできないはずです。シャドーイングで聞き取れなかった音声を復習することで”apple”は「アップル」ではなく「アッポー」だったのか、と理解できます。シャドーイングを繰り返し行って音声知識データベースを更新できれば、知らない単語や訛りが強いナレーターに当たらない限りはスムーズにリスニングができるようになります。

日本人は意味理解より音声知覚が苦手

日本人はリスニングにおいて、意味理解よりも音声知覚の方が苦手です。なぜなら意味理解は、中学・高校で重点的に鍛えられているからです。中学高校では、単語や文法を中心に学習しますよね。しかし意味理解が十分でも音声知覚ができなければ、リスニングはできません。

例えば英語リスニングでは、音と音が結合するリエゾンがよく起こります。例えば”in English”という表現は単語を分けて発音すると「イン イングリッシュ」です。しかし実際の英文では、音と音が結合して「イニングリッシュ」と聞こえます。これがリエゾンです。しかしこのリエゾンをきちんと聞き取ることができる方はほとんどいないはずです。また日本人は”L”と”R”の聞き分けも苦手です。これは ”La”も”Ra”も同じ「ラ」と発音しますよね。日本人がリスニング力を上げるためには、繰り返しシャドーイングをして音声知覚能力をあげる必要があります。

シャドーイングと英会話力向上の関係性

シャドーイングはリスニング力を鍛えるのに最適な学習方法ということはおわかりいただけたはずです。しかしそれ以外の英語力、例えばスピーキング力に関してはどうでしょうか?結論としては、シャドーイングはスピーキング力向上にも役立ちます。リスニングと同じように、スピーキングにも2つのステップがあります。

  1. 発話する内容の組み立て
  2. 発話

以上の2つです。

「発話する内容の組み立て」では、まず何を発話するかを考えます。その後自分が知っている単語や文章を元に文章を組み立て、組み立てた文章を発話します。シャドーイングを行うことで、第二ステップの「発話」の力が向上します。なぜならシャドーイングで鍛えた発音や発話のスピードなどが活きるからです。シャドーイングはリスニングに最適な学習方法であることはもちろん、スピーキングにも役立つ学習方法です。

まとめ

シャドーイングがリスニングに最適な理由について、第二言語習得研究を元に解説しました。シャドーイングは、発話する必要があるので自宅での学習が望ましいです。しかし出先でシャドーイングをする場合は口パクでも構いません。 なぜなら口パクも発話も口の形は変わらないからです。ぜひ日頃の学習にシャドーイングを取り入れてみてください。

またシャドーイングに加えて十分な知識のインプットも不可欠です。しかし仕事や学校に通いながら十分なインプットのための学習時間を確保するのは大変ですよね。帰宅後に勉強しようと思っても、一人だとついつい疲労からサボってしまうはずです。そこでおすすめなのが英語コーチングです。

英語コーチングではコーチが最適な学習方法を提案してくれたり、日々の学習の進捗をチェックしてくれたりします。日々忙しい方が効率的かつ十分な時間を確保するのに最適なサービスです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

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Bong

高校時代の海外旅行がきっかけで英語に興味を持つ。大学時代には10ヵ国を旅し、TOEIC870点を取得。趣味で中国語も学んでいる語学大好き人間。6年間の英語講師を経て、現在はフリーランスとしてライター業やWebメディアの運営を行っている。

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